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「舞いあがれ!」さくら(長濱ねる)がむっちゃんと結婚?「4年」という歳月の表すもの

木俣冬フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人
「舞いあがれ!」より 写真提供:NHK

“朝ドラ”こと連続テレビ小説「舞いあがれ!」第17週では物語の舞台が2013年になり、登場人物が変化してきている。熊野律時チーフプロデューサーによると概要はこうだ。

「第16週から4年が経過して2013年、舞(福原遥)はIWAKURAの中核を担ってばりばり働いています。そこからいよいよ浩太(高橋克典)の夢だった航空機部品のボルトづくりについても試作をもちかけられ、ここから明るく夢のある方向に進んでいきます。舞は地に足のついた社会人として働きながら、夢も叶えていきます。また、貴司(赤楚衛二)や久留美(山下美月)にも新たな展開が待ち受けています」

第17週の気になる変化ポイントについて熊野CPに詳細を聞いてみよう。

◯変化その1:第80回ではさくら(長濱ねる)に変化が

――五島でさくらが経営するみじょカフェのメニューに、むっちゃんの気まぐれパスタというメニューが登場しました。そしてメニュー表には似顔絵も。一度も登場していないさくらの彼氏「むっちゃん」だが、ついに結婚したのでしょうか。

熊野「クレジットを見ていただければ気づいてもらえるようにしてみました」

◯変化その2:舞とめぐみ(永作博美)の関係が変化

――舞がめぐみを「社長」と呼ぶようになっていることが印象的です。

熊野「舞が自立したからこそ、めぐみと社長と社員として向き合うようになったことを意識的に描きました。第16週までの舞は『手伝う』という言葉をよく使っていました。社会人経験がないところからはじまって彼女なりにできることを見つけてやってきた4年間を経て、まわりの信頼を勝ち得ています。そうやって仕事に対する自覚が芽生えると、お母さんではなく社長に対するふるまいになる。福原さんも永作さんも意識して演じてくれている気がします」

――舞が車の運転をしています。朝ドラでヒロインが車を運転しているのは珍しいですが、舞はパイロットを目指していたこともあって車の運転も得意そうです。

「営業職は基本、車を使ってあちこち営業して回るものですから、リアリティの面で必要だったことと、そのシーンがあることでヒロインのはっきりした変化がわかると思い、車に乗っている場面を作りました」

――舞は意外と経営者にも向いている?

「パイロットと経営者は、人間性という意味では近いところもあります。例えば、多くのスタッフの先頭に立って判断することや、共に働く人たちに目を配ることなどです」

「舞いあがれ!」より 写真提供:NHK
「舞いあがれ!」より 写真提供:NHK

◯帰って来た人たちに込めた想い

――リストラされた人たちが帰ってくるエピソードは胸が熱くなります。

熊野「ある時期、離れざるを得なかった人たちともう一度再会することや、貴司が一度失ったデラシネを取り戻すことは、ある種の希望になると思いました。とくに、IWAKURAにひとが戻ってくることは、16週でめぐみと舞が選択したことは必ずしも正解ではなく、4年という時間を空けた意味はそこにもあります。IWAKURAがもう一度、体力をつけるには4年くらいの歳月が必要だと、実際に町工場に取材したうえで設定しました。3年だと短すぎるようで、舞がエース級になるにはやっぱり4、5年必要と判断しました。全員が帰ってくるわけではありませんが、必死に会社を立て直したあとには、戻ってきませんかと言えるめぐみと舞であってほしいと思いながら桑原亮子さんと脚本を作りました」

◯福原遥、赤楚衛二の芝居の変化

熊野「もともと、実力のあるおふたりですから、舞と貴司が時間を積み重ねたことによる人間性の深まりを魅力的に演じてくださっています。ふたりとも、相手の芝居を受け止めて展開させていける、とても素直なお芝居をされる方々です」

「舞いあがれ!」より 写真提供:NHK
「舞いあがれ!」より 写真提供:NHK

連続テレビ小説「舞いあがれ!」

総合:月~土 午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00 ※土曜は1週間の振り返り

BSプレミアム・BS4K:月~金 7:30〜7:45

出演: 福原遥、横山裕、赤楚衛二、山下美月、長濱ねる、古舘寛治、山口智充、くわばたりえ/永作博美、高畑淳子 ほか

作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太

フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人

角川書店(現KADOKAWA)で書籍編集、TBSドラマのウェブディレクター、映画や演劇のパンフレット編集などの経験を生かし、ドラマ、映画、演劇、アニメ、漫画など文化、芸術、娯楽に関する原稿、ノベライズなどを手がける。日本ペンクラブ会員。 著書『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、ノベライズ『連続テレビ小説 なつぞら』『小説嵐電』『ちょっと思い出しただけ』『大河ドラマ どうする家康』ほか、『堤幸彦  堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』『蜷川幸雄 身体的物語論』の企画構成、『宮村優子 アスカライソジ」構成などがある

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