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〈カムカムエヴリバディ〉算太は30年間何をしていたのか?濱田岳を泣きそうにさせた算太の人生とは

木俣冬フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人
『カムカムエヴリバディ』より 写真提供:NHK

“朝ドラ”こと連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK)第79回では、姿を消していた橘算太(濱田岳)が再登場(「謎の振付師」として)。安子(上白石萌音)の兄である彼がいなくなってからドラマの時間的に約30年が経過、算太は60代になっている。2代目モモケン(尾上菊之助)と古い知り合いで振り付けを担当している設定だ。

演出の安達もじりさんによると「算太はこの30年、ダンサーなのか振付家なのかは定かではないですがダンスから離れることなくダンスホールで生きてきた設定にしています」とのこと。

「時代が変わるなかで苦労もあって時にはダンスホールの経営者側にまわったこともあったかもしれませんが、再登場した時点では基本的には振り付けを仕事にしています。すごく売れっ子ではないながら地道にやっています」

好きなダンスを続けることができて、算太良かった。モモケンのCMの振り付けも良かった。この振り付け、算太らしさが出ているのだと安達さん。

「CM撮影のシーンは算太さんの再登場ではじめて撮ったシーンです。年上の俳優の方々よりも年上の設定で再登場することができるだろうかと濱田さんは不安を抱えながら現場に入られました。でも算太がかつて踊っていた振りに近い要素をダンス指導の先生がつけてくださって、そこに算太の想いがあるという意味合いを感じた濱田さんは『これはすごい、算太がここで生き続けてきたんだと感じて泣きそうになりました。勇気をもらいました』とおっしゃいました。ちょっとした振りひとつで、これまで描いてこなかった算太の人生が描き出せたかなとひじょうに嬉しく思いながら撮影できました」

おもしろミュージカルシーンのようで実は泣ける要素があった。ここでモモケンの洋風ダンスを華麗に踊る尾上菊之助もすばらしい。歌舞伎=和のイメージだが洋風もイケていた。

「時間がないなかの準備ではありましたが、台本をもらったとき、想像してなかったモモケンが踊るという内容にわくわくしながら準備しました。菊之助さんはひじょうに前向きにやってくださってほんとうにすごいと思いました。一個一個の動きの型が決まるのはさすがで、和も洋も問わず、身体の使い方に秀でた方だと改めて感じましたし、なんというか美しいと思って見とれてしまいました」

ひなたと算太は似た者同士でひじょうに気が合う

『いよいよひなた編』という紹介番組によれば算太とひなたの出会いもありそうだ。算太の前でひなた(川栄李奈)がちょっと手を振って踊っているような場面がある。あれも振り付けされたものだろうか。

「あれは川栄さんご自身のアイデアで動かれたものです。CM撮影のシーンを撮ったあとで出会いの場面を撮ったので、あの踊りをひなたなりに理解した身体の動かし方だったと思います。かわいかったのでそのまま撮りました。川栄さんと濱田さんには撮影の前に、ひなたと算太は似た者同士でひじょうに気が合うと思いますと話しました。算太の血を最も受け継いでいるのはたぶんひなたではないでしょうか」

ひなたと算太は出会って互いの関係に気づくのか。ドキドキする。

連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』

毎週月曜~土曜 NHK総合 午前8時~(土曜は一週間の振り返り)

制作統括:堀之内礼二郎 櫻井賢

作:藤本有紀

プロデューサー:葛西勇也 橋本果奈 齋藤明日香

演出:安達もじり 橋爪紳一朗 深川貴志 松岡一史 二見大輔 泉並敬眞

音楽:金子隆博

主演:上白石萌音 深津絵里 川栄李奈

語り:城田優

主題歌:AI「アルデバラン」

フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人

角川書店(現KADOKAWA)で書籍編集、TBSドラマのウェブディレクター、映画や演劇のパンフレット編集などの経験を生かし、ドラマ、映画、演劇、アニメ、漫画など文化、芸術、娯楽に関する原稿、ノベライズなどを手がける。日本ペンクラブ会員。 著書『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、ノベライズ『連続テレビ小説 なつぞら』『小説嵐電』『ちょっと思い出しただけ』『大河ドラマ どうする家康』ほか、『堤幸彦  堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』『蜷川幸雄 身体的物語論』の企画構成、『宮村優子 アスカライソジ」構成などがある

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