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開幕カード負け越しのヤクルト、「1勝2敗」は吉兆か?

菊田康彦フリーランスライター
チームの連敗を2で止めた高梨裕稔。写真は昨年12月の移籍会見から(筆者撮影)

 東京ヤクルトスワローズは京セラドーム大阪で行われた阪神タイガースとの開幕3連戦に、連敗スタート。これは2016年以来、3年ぶりのことだったが、3月31日の第3戦に2対1で勝って開幕3連敗を免れた。

2015年も開幕カードは1勝2敗

 ヤクルトは開幕3連戦を東京ドームで迎えた2016年は、読売ジャイアンツに3連敗。開幕カード3タテは過去10年ではこの年だけで、過去20年で見てもほかには2007年(対中日、ナゴヤドーム)しかない。ただし、東日本大震災の影響で開幕カードが2連戦となった2011年は、宇部のユーピーアールスタジアムで巨人に連敗した後、本拠地・神宮で横浜(現横浜DeNA)ベイスターズに敗れ、この時も開幕3連敗を喫している。

 だが、今年は開幕第3戦に、北海道日本ハムファイターズから移籍してきた高梨裕稔の好投で勝利。連敗を2で止め、この開幕3連戦を1勝2敗で終えた。ヤクルトは過去10年の開幕3連戦は割と分が良く、負け越しているのは先の2016年、2011年を除くと、2015年しかない。

 ヤクルトのファンなら、2015年と聞けばピンと来るかもしれない。真中満監督就任1年目で、14年ぶりのリーグ優勝を果たしたシーズンである。この年は敵地・マツダスタジアムで広島東洋カープを相手に開幕戦を延長戦の末に制したものの、その後は2連敗。今年と同様、1勝2敗で開幕3連戦を終えている。

2015年と今年の類似点は?

 この2015年と今年の開幕3連戦における類似点を挙げるなら、どちらも先発投手がしっかりと試合をつくっていることだ。2015年も開幕投手は小川泰弘だったが、前田健太(現ドジャース)を向こうに回して7回無失点の好投を見せている。続く第2戦も今年と同じく石川雅規が先発マウンドに上がり、7回を投げて許したのは菊池涼介のソロ本塁打による1点のみ。第3戦でも杉浦稔大(現北海道日本ハム)が6回を1失点に抑え、3戦とも先発投手がしっかりとゲームメイクした。

 それでもこの年はシーズン序盤は打線が機能せず、ピッチャーの好投になかなか報いることができなかった。真の意味で投打がかみ合い、混戦から抜け出すのは夏場以降のことだ。今年もこの開幕3連戦では計3得点に終わったものの、打線には実績のあるバッターが多く、いずれは状態を上げてくるだろう。だからこそ、昨年は両リーグワーストの防御率4.32だった先発陣が、しっかりと試合をつくった意味は大きい。

 優勝した2015年は開幕3連戦のみならず、先発を中心に投手陣が踏ん張って開幕から14試合連続3失点以下の日本新記録を樹立した。ヤクルトは現在、デービッド・ブキャナン、アルバート・スアレスの両先発が出遅れているが、打線の調子が上向いてくるまで、どれだけ投手陣が踏ん張ることができるかに注目したい。

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フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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