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山田哲人、球団史上最年少の通算200本塁打なるか~2019年ヤクルト注目の記録(打者編)

菊田康彦フリーランスライター
2019年シーズンの開幕を待ちわびるヤクルトの本拠地・神宮球場(筆者撮影)

 いよいよ今週、29日からプロ野球の2019年シーズンが開幕する。ここでは昨年のセ・リーグ2位から、チームスローガンの「躍進」で一気に優勝を狙う東京ヤクルトスワローズの選手に期待される、主な記録を紹介しよう。まずは「打者編」。

川端慎吾は通算1000安打に王手

 通算1000安打に王手をかけているのが、プロ14年目の川端慎吾(31歳)だ。天才的なバットコントロールで2015年には首位打者を獲得した生え抜きも、一昨年は腰痛に苦しめられて一軍出場はゼロ。昨年は椎間板ヘルニアの手術から復帰して97試合に出場したが、打率.259と本来の状態からはほど遠かった。最終戦で1本打てば通算1000安打だったがノーヒットに終わり、達成は今季に持ち越されている。

 今年は高卒2年目のスラッガー、村上宗隆が三塁の開幕スタメン濃厚と伝えられる一方で、川端はキャンプから二軍での調整が続いている。サードのポジションには通算1000安打まで残り20本のベテラン、大引啓次(34歳)もおり、川端としてはできるだけ早い段階で一軍に上がって、この記録をクリアしておきたいところだろう。なお、川端は通算1000試合出場にもあと34と迫っている。

 その川端や大引を上回るNPB通算1446安打を積み上げているのが、メジャーから復帰して2年目の青木宣親(37歳)。昨季は序盤こそメジャー時代とのタイミングの取り方の違いに苦しんだものの、徐々に調子を上げて最終的には162安打を放ち、通算1500安打まで残り54本としてシーズンを終えた。ちなみに日米通算安打は現在2220本で、ヒューストン・アストロズに在籍していた2017年に名球会入りしている。

 通算1400安打で、その青木を追うのが今季でヤクルト4年目の坂口智隆(34歳)。オリックス・バファローズ時代はケガに泣かされたこともあったが、ヤクルト移籍後は3年連続で150本以上の安打を記録しており、こちらも今季中の1500安打達成はほぼ確実だろう。

 通算1000安打には畠山和洋(36歳)が残り64本、山田哲人(26歳)は残り73本。5年連続100安打以上で今季も絶対的なレギュラーの山田はともかく、昨年も代打での出場が主だった畠山にとっては、今季中の達成は厳しいかもしれない。

従来の球団最年少200本塁打は池山隆寛

 山田は昨季までの通算本塁打が167本で、通算200号まであと33本。今季もトリプルスリーを狙う勢いであれば、この記録も見えてくる。過去に球団史上最年少でこの記録を達成したのが1993年の池山隆寛で、当時27歳9カ月。今年の7月で27歳になる山田は達成がシーズン最終盤になったとしても、これを塗り替えることになる。

 また通算135盗塁の山田は、現役では昨季まで8人しか記録していない通算150盗塁まであと15。今季32盗塁で、青木が現時点で記録している球団歴代3位の167盗塁に並ぶが、それまでに青木がどの程度引き離すか。

 最後にこの選手にも触れておこう。今季でヤクルト一筋に来日9年目を迎えるウラディミール・バレンティン(34歳)だ。昨季は自身の持つ球団記録に並ぶ131打点をマークして初の打点王に輝く一方で、自己2番目の本数となる38本塁打を放った。これで通算本塁打は255本となり、300号まであと45本。ハードルは決して低くはないが、2013年には日本新記録の60本塁打をマークしており、今年のキャンプ初日には「47本塁打」を目標として掲げただけに、不可能な数字ではない。もし、仮にこの「目標」を超えて今季50本塁打に到達すると前出の池山の通算304本塁打を抜き、球団新記録になる。

 また、打点に関しては現在通算670で球団歴代8位だが、今季19打点で大杉勝男(通算688打点)を抜いて7位に進出。84打点で歴代4位の杉浦享(同753打点)をも上回り、そうなれば上位は古田敦也(同1009打点)、池山(同898打点)、若松勉(同884打点)だけになる。

 その他、今季ヤクルトの打者に達成の可能性がある主な記録は、以下のとおり。

・坂口=通算1500試合(残り140、昨季139)

・バレンティン=通算1000試合(残り98、昨季142)

・青木=通算100本塁打(残り6、昨季10)

    通算100死球(残り10、昨季19)

・山田=通算500打点(残り15、昨季89)

(文中敬称略)

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フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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