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老舗サイトが恒例のFAトップ50選手&契約先予想を発表!大谷翔平を含め日本人5投手が好評価ランクイン

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
老舗サイトでも大谷翔平選手の契約総額が5億ドルを突破すると予想している(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【老舗サイトが恒例のFAトップ50&契約先予想を発表】

 GMミーティングが今日(現地時間11月7日)から始まり、オフシーズンが活発化する中、MLBの契約や移籍情報を専門に扱う「MLB TRADE RUMORS」が毎年オフの恒例となっている「FAトップ50選手&契約先予想」を発表した。

 最近ではMLB公式サイトをはじめ多くのメディアが独自のランキングを作成するようになっているが、老舗的存在の同サイトは長年にわたり発表を続けており、以前から個人的に参考にさせてもらっている。

 あくまで予想なので常に契約先が的中するわけではないが、契約先のみならず契約内容(契約期間および契約総額)も予想しており、それぞれのオフシーズンのFA市場の相場ならびに各FA選手の評価を確認するのに重宝させてもらっている。

【トップ50人に日本人選手が5人も入る人気ぶり】

 今回のランキングで注目されるのは、トップ50人に日本人選手が5人も入っていることだ。そのうち3人はまだ実績もなく今オフにMLB移籍を表明している3投手だ。今年3月に実施されたWBCの優勝で、MLB内で日本人投手の評価が高まっている証拠だろう。

 またトップ50人の中で大谷翔平選手が第1位で、山本由伸投手が第3位にランクされるなど、ランキング上位に複数人の日本人選手が名前を連ねるのは、2017-18シーズンのダルビッシュ有投手(第1位)、田中将大投手(第5位)以来の人気ぶりだ。

 今回はトップ50人に入った5選手のランキングと予想される契約内容について紹介したい。ぜひ今後の参考にしてほしい。

【MLB史上初の総額5億ドル突破が確実視される大谷選手】

 まずは大谷選手だ。

 同サイトによれば、大谷選手の契約内容は12年総額5億2800万ドルだと予想している。これまでMLB史上でFA選手としての最高契約総額は昨オフにアーロン・ジャッジ選手がヤンキースと合意した9年総額3億6000万ドルだ。また契約延長による契約総額を含めるとマイク・トラウト選手がエンジェルスと結んだ12年総額4億2650万ドルが史上最高額なので、大谷選手が初めて5億ドルの壁を突破すると予想している。

 しかも平均年俸額(いわゆるAAV)が4400万ドルとなり、こちらも今シーズンまでの史上最高額であるマックス・シャーザー投手とジャスティン・バーランダー投手の4333万3333ドルを超えることになり、名実ともにMLBトップの選手になると考えているわけだ。

 契約先に関しては、同サイトの3人がそれぞれ別々に予想しているのだが、大谷選手の場合は全員がドジャースだと予想している。やはり米メディアの間では、ドジャース一番人気が完全に定着しているようだ。

【エース格の評価でMLB入りしそうな山本投手】

MLB公式サイトではトップ25人中第2位にランクされている山本投手だが、このサイトでは第3位になっている。そして契約予想額は、9年総額2億2500万ドルとしている。

 この予想では平均年俸額は2500万ドルとなり、いわゆるMLBトップクラスといわれる3000万ドル超えに至っていない。だが2023年シーズンの先発投手の年俸額と比較してみると、ダルビッシュ投手とマーカス・ストローマン投手に並ぶ8位タイに位置するもので、いうまでもなくMLBでのエース級投手しか得られない額だ。

 しかも山本投手の場合ポスティングシステムを使ってのMLB移籍なので、契約先チームはこの契約総額に加え移籍料をオリックスに支払わなければならない。

 仮にこの予想額で算出すると、移籍料は3565万ドルまで跳ね上がる。つまり山本投手を獲得した場合、そのチームは3億ドル近い投資を覚悟しなければならないということだ。

 ちなみに移籍先予想は、2人がヤンキースで、1人がジャイアンツだとしている。

【千賀投手の契約総額を上回ると評価された今永投手】

 次に堂々第10位にランクされたのが今永昇太投手だ。彼の場合WBC決勝での好投が評価されただけではなく、先発左腕はMLBでも希少価値が高いということも影響していると考えられる。

 今永投手の予想契約額は、5年総額8500万ドルとなっている。30歳という年齢を考えると、昨オフも29歳の千賀滉大投手が5年契約で合意しているので、やはり5年という契約期間は妥当ではないだろうか。

 ただ平均年俸額が千賀投手を上回り、1700万ドルと予想しているところに注目したいところだ。繰り返しになるが、多くのMLBチームが先発左腕を重要視しているからだろう。

 もちろん今永投手も山本投手同様にポスティングシステムによるMLB移籍なので、この年俸予想額の他にDeNAに支払われる移籍料が発生する。この予想額で算出すると、移籍料は1465万ドルになる。

 最後に契約先に関しては、2人がカブス、1人がエンジェルスだと予想している。

【自己最高額で複数年契約できると予想された前田投手】

 ちょうど真ん中の第25位にランクしたのが、前田健太投手だ。NPB、MLBを通じて人生初のFAとなった前田投手の契約予想額は、2年総額3600万ドルだとしている。

 36歳という年齢はどのチームも長期契約を提示するのは難しく、2年契約は妥当だといえる。むしろシーズン後半で披露した好投があったからこそ、平均年俸額が1800万ドルを保証する2年契約という予想になったと考えていい。

 MLB移籍後前田投手が最も稼いだ年俸額は2016年シーズンの1125万ドル(インセンティブを含む)だったので、米メディアからそれを上回る評価を得ていることを意味している。

 ちなみに契約先に関しては3人とも意見が割れ、メッツ、ツインズ、オリオールズと予想している。

【主力リリーフ投手並みの評価を受けている松井投手】

 最後は、第43位にランクされた松井裕樹投手だ。山本投手のインパクトが強すぎて、米国でも今オフにMLB移籍を表明している選手の中では、最も目立たない存在になっているが、同サイトではトップ50人に選ばれるとともに、メジャー契約を獲得できると予想している。

 契約予想額は、2年総額1600万ドルとしている。28歳という年齢を考えれば2年契約は短い感があるが、米メディアとしても松井投手の投球がMLBでどこまで通用するのか、未だ評価が定まっていないのだろう。

 それを物語るように、MLBでは1000万ドル以上を得ているクローザーが居並ぶ中、平均年俸額800万ドルは決して高い評価とはいえない。

 ただリリーフ投手全体で見れば、800万ドルは決して安価ではない。2023年シーズンのリリーフ投手の年俸額で比較すると、ケンドール・グレーブマン投手、ヘクター・ネリス投手、ブレイク・チレイネン投手に並ぶ23位タイとなる。

 彼らはすべて所属チームで主力リリーフ投手として活躍している面々だ。松井投手も彼らに匹敵する投手だと評価されているわけだ。

 最後に契約先に関してはこちらも3人の意見が分かれ、カブス、ジャイアンツ、カージナルスとしている。

 以上を参考にしながら、今後の展開に注目して欲しい。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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