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今季京都ハンナリーズの成功のカギを握るのはラナHCの構想でPG専任になった岡田侑大の潜在能力

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今シーズンは京都でポイントガード専任となった岡田侑大選手(筆者撮影)

【シーズン開幕戦で強豪横浜相手に善戦した京都】

 現在もエジプト代表のヘッドコーチ(HC)を務めるなど、世界規模で豊富なコーチ経験を有するロイ・ラナHCが指揮をとり2年目のシーズンを迎えた京都ハンナリーズ。

 そして昨シーズンMVP受賞の河村勇輝選手が所属する横浜ビー・コルセアーズを本拠地に迎え2023-24シーズンの開幕に臨んだが、第1戦を67対81、第2戦を75対77で落とし連敗スタートとなってしまった。

 とはいえ、昨シーズンは33勝27敗で東地区2位となり、チャンピオンシップシリーズでも準決勝進出を果たしている横浜相手に、第1戦は第3クォーターに1点差まで詰め寄り、第2戦も最後まで互角の戦いを演じている。昨シーズンは強豪チームにほとんど勝てず22勝38敗に終わった京都としては、善戦といってもいい試合内容だった。

 しかも京都は昨シーズンから選手を9人も入れ替える大刷新を断行しており、ラナHCは「もう少し時間がかかるだろうが、チームを築き上げる大きな第一歩だ」と手応えを口にしている。

【ラナHCからチームの司令塔に抜擢された岡田侑大選手】

 今シーズンの京都を象徴する存在であり、チーム成功のカギを握る選手になると考えられるのが、地元京都出身の岡田侑大選手ではないだろうか。彼も新加入9選手の1人なのだが、京都は岡田選手に従来のシューターではなくポイントガード(PG)を任せる構想で獲得しているのだ。

 岡田選手といえば、2018年にシーホース三河に入団し、いきなり最優秀新人賞を獲得する活躍を見せると、以降富山グラウジーズ、信州ブレイブウォリアーズに在籍し、貴重な日本人選手の得点源としてシューター役を担ってきた。

 そんな岡田選手をラナHCがPGに専任させようと決断したのは、彼がPGとして素晴らしい才能、可能性を秘めているからだと説明する。

 「彼はより大きなPGとしてプレーメイクもできるし、周りの選手を生かす能力を有している。そうした長身PGを揃えるのが海外リーグや国際大会の現状だ。

 我々のチャレンジは、彼を日々成長させ強固な選手にしていくことだ。そして彼自身も練習熱心でひたむきに取り組んでおり、順調に(PGに向け)前に進んでいる。

 我々が成長していくことで、彼も成長していく。多くの面でチームのエンジン(牽引役)になって欲しいと願っている」

岡田選手のPGとしての高い潜在能力に期待を寄せるロイ・ラナHC(筆者撮影)
岡田選手のPGとしての高い潜在能力に期待を寄せるロイ・ラナHC(筆者撮影)

【岡田選手「1回はやってみたいポジションだった」】

 ラナHCが話してくれたように、岡田選手もPG専任を前向きに受け入れ、積極的に取り組んでいる。

 元々岡田選手は信州在籍時にハーフコート・オフェンスの起点を担うなど、高いプレーメイク能力を披露していた。そんな彼の潜在能力を、アンダーカテゴリーのカナダ代表やナイキ・フープ・サミットの世界選抜チームでHCを務め若手選手を育成してきたラナHCは見逃さなかったというわけだ。

 「(京都から)オファーをもらった段階で、PGでという話でした。自分としても1回やってみたかったポジションでしたし、自分にとってもプラスになることだと思っています。

 これまでもいろいろなPGに助けてもらいながらハーフコートでボールをクリエイトするのが自分のスタイルだったんですけど、(今は)ボール運びをしながらなのでしんどいですし、もっと体力をつけないといけないです。

 難しいですけど、楽しいなという感じですね」

元々得点能力とアタック力には定評があった岡田侑大選手(筆者撮影)
元々得点能力とアタック力には定評があった岡田侑大選手(筆者撮影)

【189センチPGの誕生でBリーグの脅威になるのか?】

 もちろんPGとして未完成の岡田選手だが、横浜との2連戦では計18アシストを記録し早くもBリーグ1位に立つなど、すでに資質の高さを示している。しかもメンバーが刷新したチームでお互いの意思疎通が完璧ではない中で、これだけのアシスト数を記録しているのは賞賛に値する。

 元々シューターとして高い得点能力とスピードを生かしたアタック力に定評があった選手だけに、そこに司令塔として幅広いコートビジョンと的確なシュートセレクション能力が加わるようなことになれば、とてつもないオールラウンダーのPGが誕生することになりそうだ。

 「ピックを使った時にオープンの選手を探すんですけど、全員が確率のいい3ポイント・シューターなので、そこはちょっと迷ってしまっているし、逆に自分のアタックも遅れてしまっていると感じています。そこをクリアにしていければ、もっとフィットしていけると思います」

 今後の課題について語る岡田選手の言葉は、そのまま彼のPGとしての伸びしろに他ならない。

 ラナHCが話すように、189センチの長身PGはBリーグだけでなく、国際舞台でも魅力的な存在になっていくはずだ。今シーズンの岡田選手の成長ぶりを確認するのが楽しみになってきた。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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