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勝率5割キープでは不十分?!今もエンジェルスが大谷翔平をトレードする可能性が消滅しないワケ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
大谷翔平選手の去就はまだまだ先が見通せない状況だ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【エンジェルスが週末のアストロズ4連戦で1勝3敗】

 週末にアストロズと敵地で4連戦を戦ったエンジェルスが、最終第4戦で大谷翔平選手の決勝二塁打が飛び出し勝利を挙げ、通算成績を31勝30敗として勝率5割以上を堅守した。

 だがカード自体は1勝3敗に終わり、地区2位アストロズにゲーム差を5に広げられるとともに、同首位レンジャーズとのゲーム差も8.5となり、徐々に上位チームから引き離され始めようとしている。

 今回のアストロズ4連戦を戦い終え、果たしてエンジェルス・ファンは現在のチーム状況をどのように捉えているのだろうか。

【わずか1ヶ月足らずでかなり差が開いたチーム状態】

 エンジェルス番記者の1人、ジェフ・フレッチャー記者が、カード最終戦前に3連敗した時点で自らの記事を引用ツイートしているのだが、長年チームを観察してきた人物の本音が現れている気がする。

 「エンジェルスは現時点で、アストロズと互角に戦えるチームには見えない。拙守で5失点され6-9で敗れた、ここまでヒューストンに6試合中5試合に敗れている」

 5月8~10日に今シーズン初顔合わせをした際は、エンジェルスが地区2位の19勝16敗で、アストロズが同3位の17勝17敗とかなり肉薄していた。3連戦は1勝2敗で負け越したものの、3試合すべて2点差以内の接戦を繰り広げていた。

 そこから1ヶ月足らずしか経過していない現在、アストロズは着実にチーム状態を上げ続け、11の貯金をつくることに成功する一方で、エンジェルスは勝率5割を割り込んではないものの、一進一退の状況を続けている。

 フレッチャー記者ではなくとも、現在の両チームの差を実感したエンジェルス・ファンは少なくなかったはずだ。

【現時点でのエンジェルスのポストシーズン進出オッズは17.5%】

 エンジェルスは昨オフに大幅補強を断行し、チーム史上最高額の年俸総額を費やし今シーズンに臨んでいる。

 もちろんチームの至上命題は2014年以来のポストシーズン進出であり、すでに米メディアが報じているように、ポストシーズン進出できるかどうかが今シーズン終了後にFAとなる大谷選手の去就に大きな影響を与えるとされている。

 昨シーズンの今頃は怒濤の14連敗中の真っ只中で、その間にジョー・マドン前監督が解任されるなど、チームは最悪の状態にあった。それと比較すれば、勝率5割以上を維持している現在のチーム状況は決して悲観的なものではない。

 だが今シーズンのア・リーグは15チーム中10チームが勝利5割以上を維持しており(現地時間6月4日現在)、それに伴いワイルドカード・レースも例年以上に高レベルで競い合っており、現在のエンジェルスでも圏外に置かれている状況だ。

 またデータ専門サイトの「Fan Graphs」によれば、現時点でのエンジェルスがポストシーズンに進出できるオッズは17.5%に止まっている。

【現状のままなら大谷選手はチームを去ると考える米メディア】

 これまで何度となくポストシーズン争いをしたいと公言してきた大谷選手だが、すでに多くの米メディアがエンジェルスの現状を鑑み、「このままでは間違いなくオオタニはチームを去るだろう」という見方をしている。

 もし仮に、エンジェルスが今シーズンのトレード期限である8月1日まで現在のように勝率5割周辺を彷徨っているとしたら、エンジェルスはどういった決断を下すのだろうか。

 今後チーム状態が上がってくる可能性があるとはいえ、シーズン終盤までポストシーズン争いをしていくためにはトレードによる戦力補強が必要になってくるだろう。

 だがその一方で、勝率5割前後を維持していたとしても、現在ワイルドカード争いでメインを演じているオリオールズ、ヤンキース、アストロズ、ブルージェイズは、エンジェルスと比較するとチーム状態が良く、さらにワイルドカード争いから離されてしまう可能性もある。そうなれば戦力補強に着手しにくくなってしまうことが想定される。

【ESPN記者は大谷選手のトレードの可能性を示唆】

 エンジェルスのアルテ・モレノ・オーナーとペリー・ミナシアンGMは、シーズン中の大谷選手のトレードを完全否定している。チームがシーズン最後までポストシーズン争いを続けるのなら、必要不可欠な戦力なので当然のことだ。

 だが8月1日が近づく中ワイルドカード争いでさらに引き離されるような状況になれば、エンジェルスが手をこまねいている内に、シーズン終了後に大谷選手がチームを去るのをただ見送るしかなくなるのだ。

 ならばMLBで最低クラスのマイナーリーグ組織を立て直す意味でも、大量の若手有望選手と交換可能な大谷選手をトレードに出した方が、エンジェルスにとってどれだけ有益か計り知れないものがある。

ESPNのジェフ・パッサン記者は、昨シーズンのトレード期限でナショナルズからパドレスにトレードされたフアン・ソト選手の例を示し、「(ナショナルズの)マイク・リゾGMはラジオ番組でソトをトレードしないと公言しながら、2ヶ月後にはパドレスに放出した」と説明。チーム状況によっては大谷選手のトレードの可能性を示唆している。

 パッサン記者ではないが、フロントの言葉を信じ大谷選手のトレードを完全否定するのは些か早計な気がする。すべてはエンジェルスの6、7月の戦いぶりにかかっているのではないだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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