野茂氏と黒田氏は1チーム足りず!ジャスティン・バーランダーが成し遂げた史上21人目の全30チーム制覇
【バーランダー投手が史上21人目の快挙を達成】
メッツのジャスティン・バーランダー投手が現地時間5月10日のレッズ戦に登板し、7回を投げ2安打1失点7奪三振の好投で、メッツ移籍後初勝利を飾った。
この勝利で自身の通算勝利数を245に伸ばすとともに、レッズから初勝利を奪い全30チームから勝利を記録することに成功している。
MLBが30チーム構成になった1998年以降で、全30チームから勝利を挙げている投手はバーランダー投手が21人目で、2021年のゲリット・コール投手以来2年ぶりの快挙だ。
【3度目の登板で勝ちとったレッズ戦初勝利】
昨シーズンまでタイガースとアストロズのア・リーグに在籍してきたバーランダー投手にとって、ナ・リーグ相手の登板機会はかなり限られていた。
レッズも過去に2012年、2019年と2度しか登板しておらず、対戦成績は0勝1敗に終わっていた。
3度目となった今回は、初回にいきなり先制点を許す不安な立ち上がりとなったが、2回以降は味方の守備にも助けられながら無安打1四球に抑え、逆転勝利を呼び込むことに成功している。
ちなみにバーランダー投手は、パドレスとジャイアンツも2試合しか登板できていないが、パドレスからは2勝、ジャイアンツからも1勝を記録している。
【チーム別最多勝利数はロイヤルズの24勝】
バーランダー投手の通算245勝をチーム別に見ていくと、1位がロイヤルズの24勝で、2位がガーディアンズ、ホワイトソックス、ツインズの22勝、5位がマリナーズの21勝、6位がレンジャーズの20勝──となっている。
当然のところながらア・リーグ中地区のタイガース、同西地区のアストロズに所属していた手前、対戦機会が多かった地区内チームが上位に名を連ねている。
ちなみにバーランダー投手の通算成績は245勝134敗と大きく勝ち越しているので、基本的にどのチームとの対戦成績も勝ち越しているのだが、レッドソックス(5勝6敗)とガーディアンズ(22勝24敗)、ブルージェイズ(4勝6敗)の3チームには負け越している。
3チームともア・リーグなので、メッツに移籍してしまったバーランダー投手にどこまで登板機会があるか微妙だが、全30チームの対成績がタイもしくは勝ち越しで現役生活を終えるというのも、輝かしい経歴になりそうだ。
【野茂投手と黒田投手はあと1チーム足らず快挙ならず】
実は日本人投手の中にも、快挙達成まであと一歩まで迫っていた選手がいた。日本人メジャーリーガーの草分け的存在である野茂英雄投手と黒田博樹投手の2人だ。
彼は計12シーズン7チームに在籍し、通算123勝を記録しているが、これをチーム別で見ると最も長く在籍したドジャースだけ未勝利に終わり、快挙を達成することができなかった。
ちなみに野茂投手はドジャース戦に2度登板し、0勝1敗に終わっている。
また7シーズンにわたりドジャースとヤンキースに在籍し通算79勝を記録している黒田投手は、タイガースに勝利できず快挙達成を逃している。黒田投手はタイガース戦に5度の登板機会があったが、0勝1敗に終わっている。
現役投手ではダルビッシュ投手が最も快挙に近く、現時点で30チーム中28チームから勝利を挙げており、残るは古巣レンジャーズとオリオールズの2チームという状況だ。
今後ダルビッシュ投手にこの2チーム相手の登板機会が巡ってきた際は、是非注目したいところだ。
【過去の20投手で殿堂入りはジョンソン投手のみ】
全30チームからの勝利は間違いなく快挙であると思うが、前述通り1998年以降21投手が達成していることを考えると、極端に難しい記録とはいえないのかもしれない。
ただMLBのエリートクラスの1つと言っていいだろう。とりあえず達成者21人を達成順に紹介してみたい。
達成第1号のアル・ライター投手を皮切りに、ケビン・ブラウン投手、テリー・ムルホランド投手、カート・シリング投手、ウッディ・ウィリアムス投手、ジェイミ・モイヤー投手、ランディ・ジョンソン投手、バリー・ジト投手、ハビア・バスケス投手、ビセンテ・パディヤ投手、デレック・ロー投手、AJ・バーネット投手、ダン・ハーレン投手、カイル・ローズ投手、ティム・ハドソン投手、ジョン・ラッキー投手、マックス・シャーザー投手、バートロ・コロン投手、ザック・グリンキー投手、ゲリット・コール投手、そしてバーランダー投手と、1990年代以降のMLBを彩った投手たちばかりが名を連ねている。
現時点で21人中殿堂入りしている選手はジョンソン投手1人だが、バーランダー投手とシャーザー投手はほぼ間違いなく仲間入りすることになりそうだ。