2年前のメジャー初昇格はたった2日間で終わった33歳のオールドルーキーが目指す公式戦初出場
【33歳のオールドルーキーがメジャー昇格】
パイレーツが現地時間4月23日、2Aから1人の選手をメジャー昇格させた。
その選手の名前は、ドリュー・マジー選手。この日行われるレッズ戦に備え、同選手が本拠地のPNCパークに足を踏み入れるのは2度目だった。2010年のドラフトでパイレーツから15巡目氏名を受け、母同伴で契約書にサインして以来のことだ。
マジー選手が球場入りし、クラブハウスで出迎えられるシーンは、チームのTwitter公式アカウントで動画が公開されている。
入団当時は21歳だった若者は、13年の時を経て33歳のベテラン選手として同球場に戻ってきた。オールドルーキーとなったマジー選手が次に目指すのは、念願の公式戦初出場だ。
【メジャー昇格を通告する動画がSNS上で拡散】
MLB公式サイトによれば、13年ぶりに本拠地球場に戻ってきたマジー選手は、以下のような感想を語っている。
「ここが自分にとってすべてが始まった場所だ。若かった頃の記憶が鮮明に蘇ってくる。ようやくここに戻ってこられて本当にハッピーだ。13年間は本当に厳しいものだった。山あり谷ありだったし、故障やいろいろな出来事も経験した。これまで過ごしてきた日々がいつ報われるかは誰にも分からない。今ここにいるということは、正しかったのだと思う」
ちなみにマジー選手が朗報を受け取ったのは、前日の2Aでのチームミーティングだった。
同チームのケイリックス・クラブ監督が全選手の前で、チーム最年長マジー選手のメジャー昇格を発表すると、選手たちから拍手がわき起こった。そして感情を爆発させたマジー選手は、仲間たちと熱い抱擁を交わした。
その動画は感動的なシーンとして、チーム公式アカウントのみならず米メディアがSNS上で拡散し、すでに多くの人々が感動を分かち合っている。
【2015年に解雇後は5チームを渡り歩いた苦労人】
マジー選手が感慨深く話しているように、彼の野球人生はかなり過酷なものだった。
ドラフト指名以降5年間パイレーツ傘下のマイナーリーグに在籍してきたが、一度も3Aに辿り着くことなく2015年3月に解雇処分となっている。
それ以降はシーズンが終了する度にFAになりながら新しい契約先を求め、エンジェルス、ドジャース、ガーディアンズ、ツインズ、フィリーズとマイナー契約を結び、傘下のマイナーリーグを渡り歩いてきた。
2018年にガーディアンズに在籍した際は、招待選手としてメジャーキャンプに参加したこともあったが、残念ながらメジャー入りは逃している。
そしてフィリーズ傘下の3Aチームに在籍していた昨シーズン途中に、パイレーツにトレードされ7年ぶりに古巣に復帰。シーズン終了後に再びパイレーツとマイナー契約を結び、今日に至っていた。
【2021年にメジャー初昇格もわずか2日間でマイナー降格】
実はマジー選手にとってメジャー昇格は、今回が2度目のことだった。人生初のメジャー昇格は、2021年のツインズ時代だった。メジャーに負傷者が出たことで同年9月18日に3Aから昇格を果たしたものだった。
しかしこの時のメジャー在籍期間はたったの2日間で、ベンチに座ったまま公式戦に出場できないまま3Aに戻るという屈辱を味わっている。その後残りシーズンも40人枠に止まっていたのだが、シーズンが終了するまで再昇格の声はかからなかった。
それだけに今回のメジャー昇格では、公式戦出場を何としても果たしたいという思いは強いことだろう。
「自分の名前が呼ばれたら、準備はできている。(投手が投げる)初球を見るために13年間待ち続けた。いけるよ」
残念ながら23日のレッズ戦ではマジー選手の出場機会はなかったが、パイレーツは次カードもホームでドジャースと3連戦を戦う予定だ。
果たしてデビューを飾るマジー選手を、地元ファンはどのように出迎えるのだろうか。今から楽しみにしておきたいところだ。