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同日先発した3投手がすべて5回3安打1失点ながら菊池雄星○ダルビッシュ有△前田健太●という珍現象

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
2年ぶりの公式戦登板で好投を演じながら敗戦投手になった前田健太投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【日本人3投手が同じ日に今シーズン初登板】

 すでにご承知の方も多いと思うが、現地時間の4月4日に行われたMLB公式戦で、パドレスのダルビッシュ有投手がダイヤモンドバックス戦に、ツインズの前田健太投手がマーリンズ戦に、そしてブルージェイズの菊池雄星投手がロイヤルズ戦に今シーズン初登板を果たしている。

日刊スポーツによれば、これまで日本人3投手が同じ日に登板したケースは決して珍しいものではなく、2021年5月11日には上記の3選手に加え大谷翔平選手が先発登板しており、MLBで初めて4投手による同日先発登板も実現している。

 だが今回の3投手による同日登板は、ちょっと珍しい現象が起こっているのだ。

【3投手ともまったく同じ5回を投げ3安打1失点】

 3投手が打ち合わせをしたかのように、全員が5回を投げ3安打1失点という成績で降板しているのだ。

 まず先陣を切ったのはデーゲーム登板だったダルビッシュ投手だったが、この日の投球成績は5回を投げ、3安打1失点3三振4四球だった。

 4四球が物語るように、この日のダルビッシュ投手は制球力に苦しみ、毎回走者を許す投球を強いられながら、5回に犠牲フライによる1失点に抑えることに成功している。

 続いて登場した前田投手は5回を投げ、3安打1失点9奪三振無四球という内容だった。

 ダルビッシュ投手とは裏腹に、この日の前田投手は立ち上がりから安定して投球を続け、2回1死でアビサイル・ガルシア選手に左越え本塁打を放たれ1失点されたものの、6回の先頭打者に安打を許し降板するまで、ほぼ完璧な内容で相手打線を圧倒し続けた。

 最後に登場した菊池投手は5回を投げ、3安打1失点2三振1四球だった。

 菊池投手も立ち上がりから無難な投球を披露し、2回に先頭打者のフランミル・レイエス選手に左越え本塁打のみに抑えることに成功。5回に1死一、二塁のピンチを招く場面でも、後続を連続三振に打ち取り無失点で切り抜けている。

【菊池投手勝利、ダルビッシュ投手勝敗なし、前田投手敗戦】

 3投手ともそれぞれ違った内容で防御率1.80という好投を演じたわけだが、ただ試合結果は三者三様の結果になってしまった。

 まず5対1と4点差リードで降板したダルビッシュ投手は、後続投手陣がつかまり8回に逆転されてしまい、今シーズン初勝利を挙げることができなかった。

 続く前田投手は3人の中で最も素晴らしい内容の投球を披露しながら、投げ合った昨年サイヤング賞受賞投手のサンディ・アルカンタラ投手に3安打無失点で完封されてしまい、2021年8月21日以来の登板を勝利で飾ることができなかった。

 最後の菊池投手は2対1という接戦の場面で交代したものの、味方打線が着実に加点を続け、それに呼応するようにリリーフ陣も無失点リレーの好投で4対1で勝利。先発としては昨年7月28日以来の勝利投手になった。

 今回は別々の結果になってしまった3投手だが、素晴らしい内容で今シーズン初登板を終えただけは確かだ。

 シーズン開幕戦で6回を投げ、2安打無失点10三振3四球の好投を演じた大谷選手も含め、今シーズンの日本人投手たちの活躍に期待したいところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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