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今季から野手の登板が厳格化!MLBが新たに2つのルール変更を採択&導入へ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
昨季は10試合に登板し野手の登板記録を塗り替えたハンザー・アルベルト選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【MLBが新たに2つのルール変更を採択】

 今シーズンはピッチクロックやシフト守備の制限など大幅なルール変更を導入するMLBだが、さらに新たなルール変更が加わることになった。

ESPNなど米主要メディアが報じたところによると、MLBは現地時間の2月13日に選手会との合同競技委員会を開き、野手の登板機会の厳格化とタイブレーク方式の恒久化を採択した。

 いずれも満場一致で採択されたようで、さらに試合運営の最適化を目指した上でのルール変更といえそうだ。

【余りに増えすぎたここ数年の野手登板機会】

 NPBと比較して簡単にはロースターの入れ替えができないMLBでは、点差が開いた試合で投手陣(特に勝ちパターンのリリーフ陣)を温存するため、野手を登板させるのが1つの戦略として確立している。

 また野手の登板は選手同士が楽しむ傾向があり、さらにファンにもファンサービスの一環として受け入れられてきた。だがここ数年に関しては、登板機会が急増する傾向にあった。

 米メディアが報じたところでは、1990年代に野手の登板機会は10年間で57回だったのに対し、2010~15年の6年間で93回に上昇。さらに2021年は1年間だけで89回となり、昨シーズンに至っては132回まで急増していた。

 中でもドジャースのハンザー・アルベルト選手は昨シーズンだけで10試合に登板し、野手のシーズン登板最多記録(それまでは6回)を更新するほどだった。

 この傾向を危惧したMLBは、これまで6点差以上離れた試合(延長戦は対象外)なら野手の登板を認めていた従来のルールを見直し、リードしているチームなら10点差以上、リードされているチームなら8点差以上離れていないと野手が登板できないようにルールを変更した。

【選手起用に悪影響が少ないタイブレーク方式を恒久化】

 またMLBでは、新型コロナウィルスの影響で短縮シーズンになった2020年から臨時的に導入していた、延長戦のタイブレーク方式を恒久化することも併せて採択している。

 当時は準備期間の短かった選手たちの健康面を留意しての導入だったが、2021年以降もタイブレーク方式は継続され、MLBと選手会の間で今後について協議が続けられてきたが、遂に恒久化されることになった。

 2019年までは勝敗が決着するまで無制限で延長戦が実施されてきたが、20回前後の延長戦を余儀なくされたチームは、その後の戦い方に大きな影響を及ぼす傾向が強く、タイブレーク方式の恒久化は、ある意味自然な流れだったのかもしれない。

 例えば井口資仁選手が所属していた2008年のパドレスは、開幕直後の4月17日のロッキーズ戦で22回に及ぶ延長戦を戦うことになった。

 この試合を終えた時点でチームは8勝8敗の五分だったが、そこから難しい選手起用を余儀なくされ、その後の20試合で4勝16敗と大きく負け越してしまい、地区2位から最下位に転落している。

 そうしたチーム事情を考慮すれば、タイブレーク方式は無制限の延長を回避できるのみならず、試合時間の短縮にも繋がるというわけだ。

 ただ野手の登板機会が減ることに一抹の寂しさを感じているのは、自分だけなのだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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