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アーロン・ジャッジが早くも41本塁打!それでも年間60本塁打達成率は45.5%という偉業に挑む

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
7月29日のロイヤルズ戦で2本塁打を羽成41本塁打に到達したジャッジ選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【ジャッジ選手が早くも41本塁打を記録】

 シーズン開幕から本塁打を量産し続けているアーロン・ジャッジ選手が7月29日のロイヤルズ戦で2本塁打を放ち、早くも41本塁打に到達した。

MLB公式サイトによると、ヤンキース史上で7月が終了する前に40本塁打以上に到達したのは、1928年のベーブ・ルース選手(41本)、1961年のロジャー・マリス選手(40本)に次いで3人目のことだという。

 これによりア・リーグの本塁打争いで2位につけるヨルダン・アルバレス選手に11差をつけており、完全独走態勢に入っている感がある。

【後半戦は9試合で驚異の8本塁打】

 こうなってくると否応なしに期待してしまうのが、2001年のバリー・ボンズ選手とサミー・ソーサ選手を最後に誰も到達していない、年間60本塁打達成だ。

 というのも、ジャッジ選手はシーズン前半戦も89試合に出場し33本塁打と驚異的なペースで本塁打を量産してきたのだが、後半戦に入るとさらにペースが上がり、ここまで9試合で8本塁打を記録しているのだ。

 これまで60本塁打以上を記録しているのはルース選手、マリス選手、マーク・マグワイア選手(2回)、ソーサ選手(3回)、ボンズ選手の5人しか存在していない。

 しかもマグワイア選手、ソーサ選手、ボンズ全種の3人はいわゆるステロイド時代全盛期に活躍した選手たちであり、ステロイド時代以降では2017年にジャンカルロ・スタントン選手が59本塁打まで迫っただけで、誰1人大台に到達していない。

【それでも60本塁打達成率は45.5%】

 ただし年間60本塁打は決して簡単なことではない。

 同じくMLB公式サイトによれば、7月中に40本塁打以上を記録したのは、MLB全体で見るとジャッジ選手は12番目のことらしいのだが、これまで年間60本塁打に到達したのは上記5選手の延べ8人しかない。つまり7月終了時点で40本塁打に到達していたからといって、誰もが60本塁打を打てるわけではないのだ。

 しかも前述したように、1928年のルース選手は7月中に41本塁打を記録しているものの、そのシーズンの本塁打数は54本に止まっており、彼がMLB史上初めて60本塁打に到達したのは前年の1927年のことで、そのシーズンの7月終了時点での本塁打数は34本だった(9月だけで17本塁打を記録している)。

 またルース選手だけでなく、1999年のマグワイア選手、2001年のソーサ選手も、7月終了時点で40本塁打に到達せずに60本塁打をクリアしている。

 つまりこれまでジャッジ選手を除く延べ11選手が7月中に40本塁打に到達しながら、計5人しか60本塁打に到達していない計算になる。その達成率は45.5%でしかないのだ。

【61年ぶりのア・リーグ記録更新へ】

 実はステロイド時代に年間60本塁打を達成している3選手はいずれもナ・リーグ所属であり、ア・リーグ記録という見方をすれば、今も1961年のマリス選手の61本塁打のままだ。

 果たしてジャッジ選手は61年ぶりにマリス選手の記録に到達し、さらにそれを上回ることができるのだろうか。8月以降も興味が尽きないところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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