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7月28日のタイガース戦が最後の先発登板に?!復帰後の菊池雄星を取り巻く厳しすぎる環境

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
7月28日のタイガース戦で復帰登板を果たす菊池雄星投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【菊池投手が7月28日のタイガース戦に復帰登板】

 首の張りを理由に7月6日に負傷者リスト(IL)入りしていた菊池雄星投手が、7月28日のタイガース戦で復帰登板することが明らかになった。

 7月7日のアスレチックス戦を最後にIL入りしていた菊池投手だが、MLB公式サイトによれば、IL期間中に技術面での変更に取り組んだようで、チームもそれを評価している模様だ。

 まずは復帰登板でどんな投球を披露してくれるのか、注目が集まるところだ。

【先発投手の補強を画策しているブルージェイズ】

 ただ復帰後の菊池投手を取り巻く環境は、決して楽観視できるような状況にない。次回登板でチームを満足させるような投球を披露できなければ、先発ローテーションから外される可能性が高いからだ。

 やはりMLB公式サイトが報じているところでは、ア・リーグ東地区ではヤンキースの独走を許してしまっているものの、ブルージェイズは現在7チームが絡んでいる熾烈なワイルドカード争いを繰り広げており、1試合も負けられない戦いを強いられている。

 そのためトレード期限内に先発投手の補強を目論んでいるようで、それが実現した場合、菊池投手がローテーションから外されることになると予想しているのだ。

 もし菊池投手が次回登板でIL入り前のような不安定な投球を披露するようなことになれば、先発投手のトレードが加速化することになりそうだ。つまり菊池投手は次回登板で、是が非でも結果を残さないといけない状況に置かれているわけだ。

【明らかに調整目的だったIL入り】

 IL入り前最後の登板となったアスレチックス戦で、2安打4失点7四死球という大乱調で3回途中降板していた菊池投手に対し、チャーリー・モントーヨ監督(7月13日に解任)は試合後に、「(マイナー降格を含め)すべてのオプションを検討していく」と発言しており、今回のIL入りは負傷というよりも調整目的だったのは明らかだった。

 そうした猶予期間が与えられたからこそ、前述通り菊池投手も技術面の変更に取り組み、投球内容の改善を図ろうとしたわけだ。

 その成果が表れたのか、7月22日に3Aで行ったリハビリ登板では、5回2安打無失点4三振(ただし3四球)と、まずまずの投球を披露している。

 もちろんチームから調整期間をもらったという意味でも、投球が改善できたことをしっかりアピールしなければならない。

【後半戦の内容次第で来年以降も先発投手陣の構想外に】

 たとえ菊池投手が先発ローテーションから外されることになったとしても、シーズン後半戦の登板はすべて、菊池投手の将来を左右することになるだろう。

 現時点で先発ローテーションを担っているケビン・ゴースマン投手、ホゼ・ベリオス投手とは長期契約を結んでおり、アレック・マノア投手はまだ年俸調停前の選手なので2027年シーズンまでチームが保有権を有しており、主要先発陣は来シーズンも残留が決定している。

 また来シーズンまで契約が残る柳賢振投手が、来シーズン後半戦にはトミージョン手術から復帰する可能性が高く、彼が復帰すればさらに先発投手陣は安定することになる。

 そんな状況下で、シーズン後半戦も菊池投手が不安定な投球を続けるようなら、来シーズンの先発ローテーション構想から外されてもおかしくはない。

 さらに厳しい見方をするならば、今回菊池投手が結んだ3年総額3600万ドルの契約は、今シーズンの年俸が1600万ドルで、来シーズン以降の2年間はそれぞれ1000万ドルとやや廉価になるため、シーズンオフに放出する可能性すら考えられるだろう。

 いずれにせよ、今度の復帰登板が菊池投手の野球人生を大きく左右することだけは間違いなさそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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