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マット・ハービーの衝撃発言で薬物使用問題がMLBの新たな火種に?!

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
自らコカイン常用者であることを明らかにしたマット・ハービー投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【エンジェルス内で薬物使用が常態化】

 2019年に当時エンジェルスに在籍していたタイラー・スカッグス投手が遠征先のホテルで死亡した件に関し、同投手の死因の1つになった禁止薬物を提供した容疑で、元チーム広報部長のエリック・ケイ氏の裁判が現地時間の2月8日から始まっている。

 2月15日には当時スカッグス投手の同僚だった4選手が証人として出廷したのだが、その証言内容が2つの点で球界に衝撃をもたらしている。

 まず1点が、出廷したマット・ハービー投手、カム・ベドロジアン投手、マイク・モリン投手、CJ・クロン投手の4人全員がスカッグス投手同様に、ケイ氏から薬物を入手し、使用していたことを認めたことだ。

 ハービー投手は2019年しかエンジェルスに在籍していなかったが、他の3選手は複数年にわたり薬物を使用していたことを認めており、エンジェルスでは数年にわたり薬物使用が常態化していたことが明らかになったわけだ。

 これは薬物を提供したケイ氏だけの問題に止まらず、そんな状況を見過ごしてきたチーム経営陣の責任も問われることになりそうだ。

【コカイン常用者だったハービー投手】

 それ以上に衝撃的だったのが、もう1つの点であるハービー投手の証言内容だ。彼はメッツ在籍時からコカインを常用していたことを明らかにするとともに、ケイ氏とは別ルートで薬物を入手し、その一部をスカッグス投手にも提供したことを証言したのだ。

 すでに本欄でも報告しているように、審議開始にあたりケイ氏の弁護士から、ハービー投手もスカッグス投手への薬物提供者の1人だったことが明かされていたが、それを本人が認めたわけだ。

 このハービー投手の証言により、エンジェルスの薬物使用問題がケイ氏による入手ルートに止まっていなかったことが明らかになるともに、薬物使用問題が他チームにも広がる可能性が出てきたのだ。

 さらにハービー投手は薬物のみならず、米国でも麻薬指定されているコカインを常用していたことを明らかにしたことで、MLBの薬物検査が正常に機能していないことが疑われることになりそうな状況だ。

【労使交渉を解決できないMLBに新たな火種】

 というのもMLBが実施している薬物検査には、エンジェルスの選手たちが使用していたオキシコドンも、ハービー投手が常用していたコカインも対象薬物に含まれている。

 にもかかわらず、エンジェルスだけでも複数年にわたり複数の選手たちが禁止薬物を使用していたのに、誰一人MLBの薬物検査で取り締まることができていなかったのだ。やはりMLBの責任が問われることになるだろう。

 2月15日はスケジュール通りなら、全30チームがバッテリー組の集合日を迎えているはずだったが、今も労使交渉は難航し、ロックアウトが続いている。

 2月10日の記者会見で、ロブ・マンフレッド・コミッショナーはスプリングトレーニングがスケジュール通りに実施できるという強気な見通しをしていたが、今となっては虚しさしか残らない。

 今後は薬物問題でも矢面に立たされることになりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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