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有名2世選手が放った場外本塁打が両親の想い出の場所に届いていた!

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
家族にとって想い出に残る本塁打を放ったボー・ビシェット選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【ブルージェイズ中継局が取り上げたエピソード】

 ブルージェイズ戦の中継を担当している『Sportsnet』が同局のTwitter公式アカウントで、ブルージェイズ所属のボー・ビシェット選手に関するハートフルなエピソードを動画付きで紹介している。

 もちろんこの場で家族愛に満ちたエピソードを紹介していくつもりなのだが、その前に動画付きツイートを添付しておくので、興味のある方は実際の動画も是非確認して欲しい。

【ビシェット選手が放った場外本塁打】

 現地時間4月21日のレッドソックス対ブルージェイズ戦での出来事だった。

 0対0で迎えた4回表。先頭打者だったビシェット選手が放った打球は、フェンウエイパーク名物のグリーンモンスターを越え、場外に消えていった。今シーズン5本目となる先制ソロ本塁打となった。

 チームはその裏に4点を奪われ、結局2対4で敗れてしまったのだが、このエピソードに関しては、チームの勝利にまったく関係なく、ビシェット選手が放った場外本塁打が到達した場所にあるのだ。

 彼の打球は、球場側にある現在閉業中のスポーツジムまで飛んでいた。実はこのスポーツジムが、ビシェット選手の父であり、MLB通算274本塁打を記録している元スラッガーのダンテ・ビシェット氏と、母マリアナさんが最初に出会った想い出の場所だったというのだ。1991年のことだったという。

 当時ブルワーズに所属していたダンテ氏は、ボストン遠征中に試合前の練習でこのスポーツジムを訪れた。そしてマリアナさんと出会ったのだ。やがて2人は恋に落ち、そのまま結婚。そしてボー・ビシェット選手と兄ダンテ・ビシェットJr.氏(2020年までマイナー選手)の2人の息子を授かったというわけだ。

【何とか記念ボールを探し当てることに成功】

 その事実を知ったビシェット選手は、何とか記念すべきボールを探し出したいと考え、ブルージェイズ戦のラジオ実況アナウンサーに連絡。彼を通じて呼びかけたところ、所有者たちは快くボールをビシェット選手に進呈することを受け入れ、チームに手渡したという。

 ボールを無事に受け取ったビシェット選手はその見返りとして、所有者だった3人それぞれに彼のサインボールを贈呈している。

 その様子についても、前述の動画にすべて紹介されている。

【有名2世選手が揃うブルージェイズ】

 ブルージェイズといえば、ビシェット選手の他にも、通算449本塁打を放ち殿堂入りも果たしている、ブラディミール・ゲレロ氏を父に持つブラディミール・ゲレロJr.選手、また通算3060安打を記録し同じく殿堂入りしている、クレイグ・ビジオ氏を父に持つキャバン・ビジオ選手が在籍。有名2世選手が主力として活躍するチームとしてすっかり有名になっている。

 今回のビシェット選手に止まらず、これからもMLB選手たちの家族にまつわるハートフルなエピソードが誕生する可能性は十分にある。

 また父たちの現役時代を現場で取材してきた身としても、彼ら2世選手たちの活躍に格別なものを感じずにはいられない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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