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サイン盗みの処分者2人が相次いで監督復帰! もう1人監督を追われたあの人はどうなる?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ヒンチ氏、コーラ氏に続きカルロス・ベルトラン氏の現場復帰はあるのだろうか(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【コーラ氏がレッドソックス監督に復帰】

 レッドソックスは現地時間の11月6日、アレックス・コーラ氏が新監督に就任することを発表した。米メディアによると契約期間は2年間で、2023、2024年の2年間はチームがオプション権を保有している。

 コーラ氏は2018年から2年間レッドソックスの監督を務め、就任1年目にチームを世界王者に導いていた。しかし2017年のサイン盗み問題でMLBがアストロズに処分を下したことで、当時ベンチコーチを務めたコーラ氏が当事者の1人とされたことから、今年1月にチームとの連名で監督退任が発表された。

 その後MLBが2018年のレッドソックスのサイン盗み問題を調査した結果、レッドソックスは問題なしと判断された一方で、コーラ氏はアストロズのサイン盗みの当事者として1年間の出場停止処分を受けていた。

 その処分が明けたため、新監督を探していたレッドソックスへの復帰が決まったというわけだ。

【同じ処分者のヒンチ氏もタイガース監督として復帰】

 コーラ氏のレッドソックス復帰が決まる前に、MLB内で彼を迎え入れる流れが出来上がっていたように思う。

 同じくサイン盗み問題で1年間の出場停止処分を受けていた、アストロズ前監督のAJ・ヒンチ氏が同じく処分が明けたため、10月30日にタイガースの新監督に就任することが発表されていた。

 ヒンチ氏の場合は、サイン盗みそのものには直接関与せず、むしろ反対していたとされている。それでもチーム全体の責任としてジェフ・ルーノウ前GMとともに出場停止処分を受け、さらにチームから解任されており、多少コーラ氏と立場は違っていた。

 そのためサイン盗みに直接関与したコーラ氏の現場復帰は、やや早すぎではないかとの疑問が残るが、こうして復帰できたことで、とりあえずMLB内では、アストロズのサイン盗み問題は一件落着ムードに進んでいきそうだ。

【さらに気になるもう1人の存在】

 そうなると気になってくるのが、彼らと同様にサイン盗み問題で、監督の座を追われたもう1人の存在だ。MLBから処分を受けていなかったものの、コーラ氏とともにサイン盗みの当事者とされた、カルロス・ベルトラン氏だ。

 彼は昨年11月にメッツの監督就任が発表されていたのだが、サイン盗み問題が表面化したことで状況が一変。一度もチームの指揮をとることなく、今年1月に双方合意により契約解消が発表されていた。

 ヒンチ氏、コーラ氏が現場復帰したことで、間違いなくベルトラン氏復帰の後押しになるはずだ。ただ現状を考えると、メッツ復帰は難しそうだ。

【新オーナーになりメッツのフロント陣が一新】

 まず現時点で、メッツの監督職は空位になっていない。ベルトラン氏の後任監督として指名されたルイス・ロハス氏が今もチームに残っている状態だ。まず彼を解任しない限り、ベルトラン氏が戻れる場所はない。

 さらにベルトラン氏をチームに招き入れようとしたフロント陣が、11月6日に刷新されてしまったのだ。

 MLBからメッツ買収を正式承認されたスティーブ・コーヘン新オーナーは、編成の責任者としてサンディ・アルダーソン氏を球団社長に採用。これに伴い、ブロディ・バンワゲネンGMをはじめ計4人のフロント・スタッフがチームを去ることになり、ベルトラン氏との関係性は完全に薄れてしまった。

 ヒンチ氏やコーラ氏と違い、まだ監督としての実績がないベルトラン氏。果たして彼を迎え入れるチームは現れるだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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