Bリーグの新たな潮流に? 攻撃型外国籍PGの加入が試合スタイルを変える?

大阪戦2試合で59得点8アシストの活躍をしたレイヴォンテ・ライス選手(筆者撮影)

【京阪ダービーで鮮烈デビューを飾った2人の外国籍選手】

 Bリーグは週末にシーズン第3節を実施し、大阪エヴェッサは京都ハンナリーズを迎え、“京阪ダービー”2試合を戦い1勝1敗と引き分けた。

 戦前は洛南高校→東海大学と同じ経歴を辿った、大阪の伊藤達哉選手と京都の寺嶋良選手のPG(ポイントガード)対決が注目されていた。だがいざ蓋を開けてみると、今節でBリーグデビューを飾った、両チームの外国籍PG2人が、主役の座を奪う活躍をみせつけることになった。

 今シーズンから京都に加わったレイヴォンテ・ライス選手は、2試合を通じて計59得点、8アシストを記録。同じく今シーズンから大阪に加わったDJ・ニュービル選手も2試合で43得点、5アシストを記録し、両選手ともに圧倒的な存在感を見せつけた。

【両選手とも強豪校で攻撃型PGとして活躍】

 ライス選手、ニュービル選手とも、これまで欧州リーグやニュージーランド・リーグなどを主戦場としており、Bリーグは初参戦となる。

 ライス選手はイリノイ大学、ニュービル選手はペンシルバニア州立大学と、米国内でもバスケットの強豪校と知られるチームに在籍し、得点能力の高い攻撃型PGとして活躍してきた選手だ(ただ彼らは純粋なPGというよりも、SG(シューティングガード)もできるコンボガードとしての要素が強く、2人とも複数のポジションをこなせると説明している)。

 新型コロナウイルスの影響でチーム合流が遅れたため、それぞれ数日間しかチーム練習に参加できないまま実戦を迎えることになったが、その高いボールハンドリング能力とシュート能力で、あっという間に試合をコントロールする存在になっていた。

 特に第1戦では、一時両選手のシュート合戦の様相を呈するなど、ボール運びから、攻撃の組み立て、最後のシュートまで決めてしまう、攻撃型PGの能力を遺憾なく発揮する結果になった。

 両選手ともに190センチ前後の身長を誇り、日本人PGがマッチアップするのは簡単ではなく、今後さらに不気味な存在になっていきそうな予感がする。

デビュー戦で高い得点能力を見せつけたDJ・ニュービル選手(筆者撮影)
デビュー戦で高い得点能力を見せつけたDJ・ニュービル選手(筆者撮影)

【すでに6チームが外国籍PGを補強】

 実は今シーズンから外国籍PGを補強しているのは、京都、大阪の2チームだけではない。レバンガ北海道、三遠ネオフェニックス、シーホース三河、滋賀レイクスターズも外国籍選手をPG登録しているのだ。

 また外国籍選手ではないものの、横浜ビー・コルセアーズがケドリック・ストックマン・ジュニア選手を、また千葉ジェッツも昨シーズンからコー・フリッピン選手をPGとしてチームに迎えている。

 これまでBリーグでは、日本バスケットの弱点とも言われていた高さとパワーを補強するため、C(センター)やPF(パワーフォワード)の外国籍選手を招聘するのが一般的だった。

 だがここ数年は、ジュリアン・マブンガ選手が2018-19シーズンでアシスト王のタイトルを獲得するなど、オールラウンド型の外国籍選手が注目されるようにもなってきた。

 さらに今シーズンから外国籍選手ルールが変更になり、昨シーズンまでは登録枠3人の外国籍選手の内2人しか試合にエントリーできなかったが、3人すべてをエントリーできるようになり(さらにもう1人、帰化選手もしくはアジア枠選手のエントリーも可能)、CやPFにとらわれない外国籍選手を使える余裕ができたことで、外国籍PGと契約するチームが増えてきたようだ。

【伊藤選手「あまり日本のPGにはいない」】

 まさに衝撃デビューを飾った2選手だが、まだチーム合流後日が浅く、チームシステムも各選手の特長も把握できていない。これから日を重ねていきながら、まだまだ彼らのパフォーマンスは上がっていきそうだ。

 彼ら自身も、チームとして状態が上がってくるだろうと信じて止まない。

 「自分はチームが勝つためなら、求められることを何でもやるつもりでいる。もちろん我々はベストの状態ではない。これからチームで時間を重ねていき、個人ではなくチームとして成長を続けていけば、その可能性は無限だと思っている」(ライス選手)

 「今日の試合は選手が揃った最初の試合だし、チームとして数日間しか練習できていない。まだチームとして初期段階だ。今後練習や試合を重ね、お互いを理解していけば、チームとして良くなっていくだけだ。そうしてコーチが我々を1つにまとめてくれれば、チームとして素晴らしい化学反応を起こすだろう」(ニュービル選手)

 ところでライス選手、ニュービル選手の活躍を、同じコートに立っていた日本人PGはどう感じていたのだろうか。伊藤選手に話を聞いたところ、以下のような返事が返ってきた。

 「まず負けず嫌いだなというのを感じました。ここぞっていう時に絶対自分でボールを持って決めてやるっていうのは伝わってきますね。たぶん富樫(勇樹)選手はたぶんそっち(のタイプ)かなと思います。

 あまり日本のPGにはいないなと感じます。今それがチームメイトですけど、普段練習ではマッチアップもするので、そこはいい勉強になっています」

 伊藤選手の言葉から理解できるように、ニュービル選手の存在が日本人PGにも大きな刺激をもたらしているようだ。

 今後攻撃型の外国籍PGが、さらにBリーグを盛り上げてくれそうだ。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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