Yahoo!ニュース

トランプ大統領も復帰を歓迎? チャージャーズHCがキャパニック獲得に興味を示す

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
4年ぶりのNFL復帰がさらに現実味を帯びてきたコリン・キャパニック選手(写真:ロイター/アフロ)

【チャージャーズHCが獲得に興味を示す】

 今も米国内で人種差別に対する根強い抗議活動が続く中、今や一般の人々の間でも片膝をつく行為が象徴的なポーズになっている。そして2016年に人種差別に抗議するため膝つき行為を最初に始めた、コリン・キャパニック選手のNFL復帰がいよいよ現実味を帯びてきた。

 ESPNが報じたところでは、チャージャーズのアンソニー・リンHCが、以下のようにキャパニック選手について言及している。

 「現時点でチャージャーズがコリンを練習に参加させるというプランはない。だが彼を練習参加リストに加えないというのはクレージーなことだろう。

 コリンとまだ話をしていないので、彼がどういうコンディションなのか、何をしたいと考えているのかを把握していない。だがコリンは間違いなく、我々が採用しているシステムに合致するタイプのクォーターバックだ。

 (現在在籍している)3人のクォーターバックを信頼しているし、満足しているが、待機している選手が増えても多すぎるということはない」

 つい先日本欄でも、2017年にキャパニック選手の獲得に動いたシーホークスのピート・キャロルHCが、彼の獲得調査に乗り出したチームから連絡を受けたことを明らかにしたことを報告している。

 もちろんチャージャーズがキャロルHCに連絡したチームだったかは定かでないが、NFL内にキャパニック選手獲得に興味を抱いているチームが存在していることが確認できたのは大きい。

【トランプ大統領も復帰を歓迎?】

 現地時間の6月15日に、ESPNの特番に出演したロジャー・グッデル・コミッショナーがキャパニック選手に言及し、彼のNFL復帰を歓迎するとともに、彼がどこかのチームと契約できるのを促していくことを明らかにしていた。

 さらに今度はドナルド・トランプ大統領が会見上でキャパニック選手に聞かれ、彼のNFL復帰を歓迎する発言をしている。

 「彼が(NFL復帰に)相応しいのなら、そうなるべきだ。もし彼がその能力を有しているのならだが。彼は素晴らしいかたちでキャリアをスタートしたが、選手として決していい終わり方をしていない。彼のプロ1年目は素晴らしいものだったし、自分は2年目も良かったと思っているが、何かが起こってしまったようだ。彼のプレーは万全ではなかったのではないか。

 自分の答えは…。片膝をつく行為に関しては…。彼がまたチャンスを得られることを楽しみにしている。ただ彼がしっかりプレーできなければならない。そうでなければ逆にフェアではないと思う」

 発言の中にも少し匂わせているが、トランプ大統領といえば、キャパニック選手がグラウンドから姿を消した後の2017年に、彼の意思を引き継ぎ国歌斉唱時に片膝をつくNFL選手たちとそれを許容しているリーグを徹底的に批難し、最終的にスポーツ界を相手に大論争を繰り広げた人物だ。

 今も公には国歌斉唱時に片膝をつく行為は、国旗、国歌に対する侮辱だとの考えを明らかにしており、同じ会見の場でも、選手の膝つき行為を許容しているNFLとUSサッカーに対し「失望している」と発言している。キャパニック選手はその大元ともいえる人物になるわけだが、それでもトランプ大統領は彼のNFL復帰を好意的に捉えているようだ。

 最終的にキャパニック選手は、どのチームのユニフォームに袖を通すことになるのだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

菊地慶剛のスポーツメディア・リテラシー

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3、4回程度(不定期)

22年間のMLB取材に携わってきたスポーツライターが、今年から本格的に取材開始した日本プロ野球の実情をMLBと比較検討しながらレポートします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

菊地慶剛の最近の記事