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歓声から悲鳴へ! ラプターズの優勝パレードを襲った悲しすぎる発砲事件

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
トロント中がラプターズの優勝パレードで盛り上がるはずだったのに…(写真:ロイター/アフロ)

【優勝パレードを襲った惨劇】

 NBA史上初めてカナダにタイトルをもたらしたラプターズ。彼らを称えるために実施された優勝パレードで、惨劇が起こった。

 パレードを飾る最後のセレモニー中に発砲事件が発生し、4人が被害を受け、逮捕された3人から2丁の銃が押収されたという。ESPNが報じている。

 この報道によれば、被害者のうち2人は重傷を負っているものの、命に別状はないとしている。地元警察は逮捕した容疑者から犯行理由等を含め、取り調べを行っている模様だ。

【地元紙記者が事件直後の様子をツイート】

 セレモニーは市庁舎前の広場で実施され、ステージ上でラプターズのオーナーグループの1人がファンに向けたスピーチをしている最中に、銃撃が起こったという。

 ステージ上には他にも、カナダのジャスティン・トルドー首相、トロントのジョン・トリー市長、またファイナルMVPに輝いたカワイ・レナード選手ら複数のラプターズ選手らが並んでいた。

 地元紙『トロント・スター』のジェニファー・パグリアロ記者がセレモニーの様子を市庁舎の屋上から撮影しており、発砲が起こった直後の様子をSNSに投稿している。広場全体から歓声が沸き上がる中、ある地域に集まるファンが逃げ惑う様子が映し出されている。

【トロント市民にとって26年ぶりの歓喜だったはずが…】

 ラプターズのNBAファイナル優勝は、トロント市民が待ちに待った地元チームの優勝だった。

 トロントには米4大スポーツといわれるNFL、MLB、NBA、NHLのうち、NFL以外の3リーグのチームが本拠にしているがNHLのメープルリーフスは1967年、MLBのブルージェイズは1993年を最後に優勝から遠ざかっている。

 トロント市民にとって実に26年ぶりの優勝パレードだったこともあり、市庁舎前広場には150万人が集結しラプターズの優勝に歓喜していた。

【今後の優勝パレードにも影響か?】

 その最中に起きた今回の発砲事件は、そんな市民たちのお祝いムードに水を差すだけでなく、今後の優勝パレードのあり方に大きな影を落とすことになる。

 犯人の目的は定かではないが、優勝パレードの場に誰でも拳銃を携行できてしまうのがカナダや米国社会の実情だ。セキュリティ対策を整えていたとしても、今回のように四方八方から150万人の人たちが集まってくるとなれば、持ち物検査だけでも相当の人員と予算がかかってしまい、決して簡単なことではない。

 これを機に、今後ファンが安心して優勝パレードに参加できなくなるのはあまりに悲しすぎるだろう。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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