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ブルージェイズが今季から試合前のゲーム禁止ルールを設定! その裏に隠された背景とは?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今シーズンからブルージェイズ監督を務めるチャーリー・モントーヨ監督(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【ブルージェイズに今季からユニークなルールが誕生】

 MLB公式サイトが報じたところでは、今シーズンからブルージェイズで指揮をとるチャーリー・モントーヨ新監督がメディアに対し、今シーズンは試合前にクラブハウス内でゲーム禁止時間を設定することを明らかにした。

 同記事によれば、まだ具体的なルールは決まっていないが、ある時間から試合開始までクラブハウス内でゲームをしたりTVを視聴するのを禁止することを決めたという。

【きっかけはベテラン選手からの告発だった】

 新ルールを設定することになったのは、あるベテラン選手からの告発だった。モントーヨ監督はスプリングトレーニング中にベテラン選手から昨シーズンは選手たちがゲームに興じる時間が長くなるのが目立ち、問題化していたとの事情説明を受けたとし、それを解決するため全選手から話を聞いた上で今回の新ルールを考案したようだ。

 またモントーヨ監督は今後は10人程度のリーダシップ委員会を組織し、シーズンを通してクラブハウス内の諸問題いついて検討していく方針を示している。

【MLBのクラブハウスは遊技場?】

 MLBのクラブハウスはどの球場も娯楽性が非常に高い。音響施設の整った大型TVモニターが設置してるのは当たり前で、選手たちはスマートフォンなどを繋いで自分の好きな曲をクラブハウス内に流すことができる。またチームによっては卓球台やビリヤード台、大型のTVゲームを設置しているところもあり、選手たちがリラックスできる空間になっている。

 最近ではスマートフォンやタブレットを持ち込んでゲームに興じる選手も少なくなく、それが昨シーズンからはチームの許容範囲を超えるほど、ゲーム時間に費やす選手が増えてしまったようだ。

【今やMLBで大流行している「フォートナイト」】

 また同記事の解説によると、昨シーズンにクラブハウスでゲームに興じていた選手として、今オフにドジャースに移籍したラッセル・マーティン選手の名を挙げるともに、彼のお気に入りゲームだった「フォートナイト(Fortnite)」は今ではMLB界全体で流行する人気ソフトになっていると指摘している。

 実際のところベテラン選手の告発でも、「フォートナイト」のやり過ぎが問題としてやり玉に挙がっていたようだ。またESPNなど複数メディアが報じているところだが、カルロス・サンタナ選手(現インディアンズ)が昨シーズン在籍していたフィリーズで、連敗が続いていたシーズン終盤で選手数人が試合中にゲームをしているのを発見し、怒りからゲームのモニターをバットでたたき壊したと激白している。その際に彼らがプレーしていたゲームも「フォートナイト」だったようだ。

【新ルールは他チームにも波及する?】

 「フォートナイト」の流行がブルージェイズに留まらずMLB全体に広がっているとなれば、この問題は他チームでも顕在化している可能性は高い。今回のブルージェイズの決定を機に、他チームでも類似したルールが設けられることになる可能性もあるのではないか。

 どんなの居心地がいいクラブハウスでも、誰しもが野球選手として最低限のマナーを守らなければならないのは当然のこと。今回の一件はMLBで生じた世代間ギャップなのかもしれない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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