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ランキング1位に復帰したエース・八村塁が率いるゴンザガ大に期待がかかる初の大学王座タイトル

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今や誰もが認めるゴンザガ大のエースになった八村塁選手(右)(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 AP通信は現地25日、大学バスケの最新ランキングを発表し、八村塁選手が所属するゴンザガ大が今シーズン2度目の1位に輝いた。またAP通信とともに、毎週発表されるコーチ投票ランキングでも32票中26票の1位票を獲得し、同じく1位に躍り出ている。

 今シーズンのゴンザガ大はシーズン開幕から好調を維持している。11月に行われた『マウイ・インビテーショナル』で当時ランキング1位だったデューク大を破りランキング1位に輝くと、12月にテネシー大、ノースカロライナ大に連敗しランキングを下げたものの、それ以降は連勝を続け、再び1位に復帰することに成功した。

 大学バスケのシーズンはすでに終盤に突入しており、ゴンザガ大も公式戦はあと2試合を残すだけだ。1月からは同校を含め『ウェスト・コースト・カンファレンス』に所属する10校によるリーグ戦が続いており、残り2試合もパシフィック大とセントメリーズ大と対戦する。

 公式戦終了後はカンファレンス上位10校によるプレーオフ(3月7~12日実施)が行われ、カンファレンス王座を決めることになる。カンファレンスにはゴンザガ大以外ランキング上位校がいないこともあり、ここまでカンファレンスでは無敗(14勝0敗)を続ける圧倒的な強さをみせており、このまま無敗でカンファレンス王座を奪取し、ランキング1位のまま全米大学選手権に出場すると予想されている。

 このように快進撃を続けるゴンザガ大を象徴する存在こそ、八村塁選手だ。ここまで全29試合に先発出場し、平均得点20.5は文句なしでチーム1位(2位は16.5)にランク。それ以外のカテゴリーでもリバウンド(平均6.7で2位)、アシスト(同1.62で4位タイ)、スティール(計28で4位)、ブロックショット(計23で2位)──と大車輪の活躍を続けており、今では全米が認めるゴンザガ大のエースに君臨している。

 全米1位にランキングしているチームもエースを務めているのだから、八村選手の評価も急上昇している。大学の有望選手を調査しながらドラフト指名を予測する『nbadraft.net』の2019年ドラフト予想の最新版でも4位に入っており、今年6月に実施されるNBAドラフトの注目選手になっている。

 まだ3年生の八村選手の場合、本人が「アーリーエントリー」の申請をしないとドラフト対象選手にはなれないため、まずは今シーズン終了後に彼がどういう決断を下すかに注目が集まるところだ。ただ八村選手が納得するかたちで今シーズンを締めくくることができれば、NBA入りに弾みがつくだろう。

 ランキング1位のゴンザガ大が有終の美を飾るということになれば、やはり大学王座の奪取しかないだろう。これまでゴンザガ大は全米大学選手権に21回出場しているものの、2017年の決勝進出が最高で未だ大学王座を獲得できていない。八村選手のみならずゴンザガ大学にとっても念願のタイトルなのだ。

 全米大学選手権は、各カンファレンス優勝チームなど全68校が出場し、まずは4地区(東地区、西地区、南地区、中西部地区)に分かれトーナメントを戦う。そして最終的に各地区の勝利チームが集結し、「ファイナル4」と呼ばれる準決勝、決勝を戦い、全米王座を決めることになる。前述通りゴンザガ大はランキング1位のまま選手権に臨むことが予想されるため、地区トーナメントでは第1シードになり、比較的有利な組み合わせで戦うことができそうだ。今年の選手権は3月19日に開幕する。

 果たして八村選手とゴンザガ大の結末はどうなるのか。今は期待しか感じない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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