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2年連続二冠王・ノーラン・アレナドが狙う年俸調停からの史上初の3000万ドル超え

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
年俸調停で史上最高額の3000万ドルの獲得を目指すノーラン・アレナド選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 MLBは現地11日に、年俸調停対象選手との契約交渉期限日を迎えた。この結果、この日までに契約合意できなかった選手たちの契約はすべて年俸調停に委ねられることになった。

 その1人にロッキーズのノーラン・アレナド選手がいるのだが、MLB球界で敏腕記者として知られるケン・ローゼンタール記者が同選手関連で以下のようなツイートを投稿している。

 その内容は、アレナド選手はロッキーズから2400万ドル(約26億円)の契約提示を受けていたが、それを蹴り、希望額3000万ドル(約32億円)で年俸調停の申請を行ったというものだ。

 年俸3000万ドルはMLBトップ選手のステータスともいえるもので、このオフもブライス・ハーパー選手とマニー・マチャド選手の大物FA選手が年俸3000万ドルの大型契約締結を目指している。2018年シーズンでは同額に到達している選手はわずか7人しか存在しておらず、年俸調停から3000万ドルを突破した選手は誰もいない。

 MLBの年俸調停制度とはMLB在籍期間が3年以上6年未満で、翌年以降の契約が未定の選手を対象にしたもので、FA資格のない選手たちでも年俸をしっかり上昇させるために設定された制度だ。つまり通常の場合選手たちは、FA資格を取得する前に3度の年俸調停権を得ることができる。2018年シーズン終了時点でMLB在籍期間が4年155日のアレナド選手にとって、今回が最後の年俸調停の権利だった。

 ロッキーズ生え抜きのアレナド選手は2013年にMLBデビューを飾り、2015、2016年と2年連続で本塁打王、打点王の二冠王を獲得するとともに、2015年から4年連続でオールスター戦出場、ゴールドグローブ賞、シルバースラッガー賞に輝くなど、現在ではMLB屈指の強打者三塁手だ。

 これだけの成績を残してきたアレナド選手だけに年俸額も急上昇していき、年俸調停1年目で1000万ドル(約11億円)を突破し、年俸調整2年目の2018年シーズンは1775万ドル(約19億円)に達していた。

 これまで年俸調停期間中の選手で最高年俸を得ているのは、昨シーズンにジョシュ・ドナルドソン選手がブルージェイズと合意した2300万ドル(約25億円)。つまりロッキーズがアレナド選手に提示した額そのものがドナルドソン選手を上回っており、年俸調停の結果にかかわらずアレナド選手が史上最高額を塗り替えるのはすでに確定している状況だ。

 ちなみに米の有力経済誌『フォーブス』誌によれば、1974年から2015年までに実施された計522回の年俸調停で、選手の勝率は221対301と42.34%に留まっている。

 この傾向から考えると、アレナド選手の希望通り3000万ドル獲得は難しそうに見えるが、やはり調停者の裁定結果が気になるところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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