Yahoo!ニュース

首位打者に続き本塁打王にも並んだ! シーズン最終戦に託された81年ぶりナ・リーグ三冠王という偉業

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
シーズン最終戦で81年ぶりのナ・リーグ三冠王達成を狙うクリスチャン・イエリチ選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 いよいよ現地30日にMLBは公式戦最終日を迎えるが、シーズン最終戦を前に思わぬ大記録の可能性が出てきた。ブルワーズのクリスチャン・イエリチ選手が、81年ぶりにナ・リーグ三冠王を狙える位置につけているのだ。

 今シーズンのナ・リーグMVP候補の1人、イエリチ選手の勢いが止まらない。現地29日のタイガース戦に出場し、0-3と劣勢の3回に2ラン本塁打を放ち反撃の口火を切ると、今度は同点で迎えた7回の第4打席で決勝本塁打を右翼席にたたき込み、チームを逆転勝利に導いた。この日は3打数2安打2本塁打3打点と大暴れ。この結果今シーズンの成績を、.324&36本塁打&109打点まで伸ばした。

 これで打率は2位フレディ・フリーマン選手(.310)に1分以上の差をつけて首位打者を独走し、この日の2本塁打で本塁打王トップを走っていたマット・カーペンター選手と並ぶことに成功。さらに打点も1位を走るハビアー・バエス選手にあと2まで肉薄。三冠王を射程圏内に捉えている。

 三冠王が誕生するとなると、MLB全体では2012年のミギュエル・カブレラ選手以来6年ぶりのことで決して目新しいことではない。だがナ・リーグだけで考えると、1937年のジョー・メドウィック選手以来のこと。実に81年ぶりの快挙なのだ。

 今シーズン後半戦のイエリチ選手は、神がかり的な活躍をみせている。シーズン前半戦は.292&11本塁打&43打点と決して突出したものではなかったが、後半戦に入ると一変。7月の月間打率が4割に達するなどリズムに乗り、29日のタイガース戦に臨むまで後半戦の成績は.360&23本塁打&63打点と抜群の数字を残している。

 また8月29日、9月17日のレッズ戦でそれぞれサイクル安打も達成。同一チームからシーズン2度のサイクル安打はMLB史上初めてのことだった。チームも7年ぶりにポストシーズン進出を決めるなど、その原動力となるはたらきをみせている。

 泣いても笑っても残り試合は30日のシーズン最終戦1試合のみ。果たしてイエリチ選手は三冠王を手中にすることができるだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

菊地慶剛のスポーツメディア・リテラシー

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3、4回程度(不定期)

22年間のMLB取材に携わってきたスポーツライターが、今年から本格的に取材開始した日本プロ野球の実情をMLBと比較検討しながらレポートします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

菊地慶剛の最近の記事