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2年ぶりに最強コンビが復活! プレーオフ初進出を目指す大阪エヴェッサの本気度

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
2年ぶりにコンビを組むハレルソン選手(左)とギブソン選手(筆者撮影)

 2018-19シーズンに臨む大阪エヴェッサは2シーズン前に在籍していた最強外国人コンビの再結成に成功し、3週間後に迫ったシーズン開幕を迎える。もちろんチームが掲げる最大の目標は、チーム史上初のチャンピオンシップ(いわゆるプレーオフ)進出に他ならない。

 Bリーグ1年目の2016-17シーズンにエヴェッサで、それぞれ平均得点15点以上を記録しチームの2大得点源だったエグゼビア・ギブソン選手とジョシュ・ハレルソン選手。昨シーズンはギブソン選手がNBA下部リーグのGリーグに回り、ハレルソン選手もサンロッカーズ渋谷に移籍したため、別の外国人選手でシーズンに臨んだが開幕からうまく機能することはなかった。

 シーズン前半戦はB2降格圏内を争うような低迷が続いたこともあり、シーズン途中でギブソン選手と再契約に成功しチームに呼び戻した。そこからチームは上昇傾向に入り、見事B2降格争いから脱することができた。改めてエヴェッサにおけるギブソン選手の価値の高さを証明することになった。

 このオフはエヴェッサとの再契約が第一希望だったというギブソン選手が望み通りに残留に成功。そこに自らの意思でエヴェッサ復帰を熱望していたハレルソン選手もチームに合流。お互いが導き合うようにして、エヴェッサで最強コンビを再結成することになった。特にハレルソン選手は、エヴェッサに復帰できたことを本当に嬉しそうに話してくれた。

 「2年前のBリーグ1年目でこのチームで活躍することができたし、エヴェッサが自分に最初に日本でプレーする機会を与えてくれたチームだ。自分にとって大阪はよりホームに近い感覚があったし、自分はチームのために頑張れるタイプだ。だからこのオフは自分からエージェントに『エヴェッサに戻りたい』とだけ伝えたんだ。願いが叶って本当に嬉しいよ。

 2年前に一緒にプレーした日本人選手は皆好きだったし、自分が離れた後も素晴らしい選手を補強している。そこにエックス(ギブソン選手のニックネーム)も戻ってきてくれて、このチームに戻りみんなと一緒に戦えることが嬉しくて仕方がないよ」

 210センチ、127キロのギブソン選手に対し、208センチ、125キロのハレルソン選手。両選手ともにBリーグでは屈指の重量級ビッグマンであることに変わりはないのだが、このコンビを最強と呼ぶには他にも大きな理由がある。お互いがタッグを組むことでそれぞれの能力を高め合うことができる、まったく違ったタイプのビッグマンなのだ。それは2人も十分に理解しており、ギブソン選手は以下のように説明している。

 「とにかくジョシュと一緒にプレーするのは楽しい。今回の試合(アーリーカップ)でもそうだったけど、お互いがお互いを補い合うことができるんだ。彼が自分を助けてくれるようにリバウンドとアウトサイドのシュートを担ってくれるので、昨シーズンはどちらかというと自分1人で(ビッグマンとして)すべてのことをやらなければならない感じだったけど、今シーズンはもっと走れるようにもなったし、自分のやるべきことに集中できるようになった。

 (外国籍選手の起用制限ルールが変更になり)今シーズンはもっとジョシュと一緒にコートに立てる時間が長くなる。我々にとってはますますいい方向に向かっている。今は日本人選手も素晴らしい選手が揃っているし、自分がこのチームに来てから今が一番戦力が揃っていると感じている。今シーズンは最も成功する1年になるだろう」

 3ポイントシュートを得意とし、さらにブラインドサイドからのリバウンドも長けたハレルソン選手が存在することで、ポストプレーからの攻撃を最も得意にするギブソン選手のプレッシャーをかなり軽減してくれるわけだ。同じコートに立つことでお互いが自分の特長を最大限に生かすことができる、こんな理想的なコンビはなかなか存在しないだろう。

 今シーズンから指揮をとる穂坂健祐HCも外国人コンビに絶大な信頼を寄せるとともに、今シーズンのチームに期待している。

 「彼ら自身プライベートでも仲がいいですし、日本人選手とプレーできる力を持っています。彼ら自身日本人選手ともよくコミュニケーションをとりますし、コーチ陣、スタッフともよくコミュニケーションをとってくれるのですごくやりやすいですね。ただ彼ら以上に他のチームの外国人選手、日本人選手のスキルも上がっていますし、我々が2年前と同じことをしてしまうと、逆にそこが弱点になってしまう。彼らに対しても同じことをしていたら絶対に成長はないといっています。

 (チームとしても)彼らの能力を生かし切れていない部分がまだまだあると思うので、彼ら自身に頼らないバスケットを他の日本人選手もプライドを持って、ボールを持ったらまず自分で得点をとりにいくという意識を持って、そして彼らのヘルプが来たら彼らにパスを出して彼らがフィニッシュをするようなケミストリー的なオフェンス。それは逆にいうと、ディフェンスもそういったかたちで生み出していきたいですね」

 チームキャプテンの根来新之助選手も、その思いは穂坂HCとまったく同じだ。

 「あの2人はお互いリスペクトし合ってますし、エックスはプレーでみんなを引っ張っていくタイプで、ジョシュは普段からコミュニケーションをとってちょっとふざけるところが多い選手なんですけど、(2人とも)そういったコミュニケーションを日本人とどんどんとってくれる選手なので、僕ら日本人としてもやりやすいし、何でもいいやすい関係にはなれているので、あの2人が戻ってきてやれるというのは楽しみですし、どんどんよくなっていくと思います。

 あとはそこで僕たちが2人に頼らず、2年前はちょっと頼り過ぎたところがあったと思うので、そこは僕ら日本人もメンバーが変わっているのでこれからが楽しみだと思っています。あとは僕がどこまでフォローできるかと思うので、パプ選手(帰化選手のファイ・パプ月瑠選手)もいますし、あの2人を少しでも休ませていい流れのまま繋げるかが大事だと思っているので、あとはみんなで…。本当にいい雰囲気だと思います」

 残念ながらアーリーカップでは昨シーズンの西地区覇者の琉球ゴールデンキングスと対戦し、力の差を見せつけながら敗れ去った。だが今シーズンのエヴェッサは、最強外国人コンビを中心に伸びしろを期待させてくれるチームであることは間違いない。まずはシーズン開幕の戦いぶりに注目したいところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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