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早くも今季3度目のノーヒットノーラン!果たして年間最多数更新はあるのか?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今季3度目のノーヒットノーランを達成したジェームス・パクストン投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 マリナーズのジェームス・パクストン投手は現地8日のブルージェイズ戦に先発し、自身初のノーヒットノーランを達成した。これで今シーズン早くも3度目の達成で、前回ドジャースのウォーカー・ビューラー投手ら4投手による継投リレーによる達成からわずか4日後の出来事だった。

 この日のパクストン投手は自慢の速球を中心に見事な投球を披露した。走者を許したのは3回に2四球、4回に1四球を与えたのみ。味方の好守備にも助けられながら、最終9回でも時速100マイルを計測するなど最後まで球威は衰えることなく、99球で投げ切った。

 マリナーズ投手によるノーヒットノーランは、2015年の岩隈久志投手以来の快挙だ。また29歳左腕のパクストン投手はカナダ出身で初の快挙を達成した地がトロントというのも何とも奇遇だが、カナダ人投手によるノーヒットノーランは、1945年9月9日にフィラデルフィア・アスレチックスのディック・ファウラー投手以来、実に73年ぶりのこととなった。

 それにしても今シーズンはノーヒットノーランが量産されている。まだ開幕から1ヶ月余りしか経過していないにも関わらず、早くも3度目。あまりの量産ペースに、MLBの年間最多達成数の更新も期待できるのではないだろうか。

 ちなみにMLB史上ノーヒットノーラン年間最多達成数は7回。これまで1990年、1991年、2012年、2015年と4シーズンにおいて記録されてきた。これらの4シーズンで5月8日時点での達成数が最も多かったのが2012年の2回。つまり今シーズンは過去4シーズンを上回るハイペースなのだ。

 ESPNのバスター・オルニー記者が投稿したツイートによれば、今シーズンここまで3回のノーヒットノーランを含め最低でも6イニングまでノーヒットノーランが続いた試合が24回あるらしい(これは大谷翔平選手のアスレチックス戦での好投を含まれている)。昨年はシーズンを通じて20回しかなかったらしく、今シーズンはノーヒットノーラン達成の確率が増しているのは間違いなさそうだ。

 すでに本欄でも指摘させてもらっているように、今シーズンは開幕から三振数が安打数を上回るというMLB史上初めての“逆転現象”も続いており、この状況もノーヒットノーラン量産の追い風になるかもしれない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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