米国挑戦3年目を迎えた中後悠平の覚悟

日本で順調な自主トレを行い米国3年目のキャンプに臨む中後悠平投手(筆者撮影)

 3年前にロッテから戦力外通告を受け一時は独立リーグで現役続行を模索していながら、その後ダイヤモンドバックスからマイナー契約のオファーを受け、活躍の場をMLBに見出した中後悠平投手。ここまで念願のメジャー昇格は果たせていないが、毎年何十人という選手が入れ替わり厳しい競争を強いられるマイナーリーグを生き残り、無事に3年目のシーズンを迎えようとしている。

 米国挑戦1年目はビザ取得の遅れでシーズン入りが6月までずれ込んでしまったが、それでも順調にステップアップしメジャー直下の3Aまで昇格。そこでも毎試合好投を続けたことでメジャー首脳陣の関心を集め、2年目の昨年はマイナー契約ながら招待選手としてメジャーキャンプに初参加を果たした。だがシーズンに入るとチーム事情の関係で2Aに回ることになり、シーズン終盤でようやく3Aに昇格したもののメジャーには届かなかった。

 昨年の2Aの投球成績(48試合登板で1勝2敗4セーブ、防御率2.35)は、一昨年の3A(13試合登板で防御率0.00)ほどではなかった。単純に比較すれば1年目より後退しているように見えるかもしれないが、それは間違いだ。本当に投球内容が後退しているのであれば、まずチームに戻ることはできなかったはずだ。シーズンのほとんどを3Aではなく2Aで投げながら今年もメジャーキャンプに招待されたことを考えれば、むしろメジャー首脳陣が中後投手が成長していると感じたため、再び彼の投球を見たいと判断したのだろう。

 昨年メジャーキャンプからマイナーキャンプへの降格が決まった際、中後投手はチームから今後の課題を伝えられ、マイナーでそれに取り組んでいくよう指示を受けていた。そして彼はシーズンを通して常にその課題克服を意識し、日々登板を重ねてきた。中後投手の中ではしっかりその成果を感じているし、今年のメジャーキャンプで何をアピールしなければならないかもしっかり把握できている。

 「去年で大分動きも流れも分かってますし、自分がどういう立場かというのもね。去年が初めてのメジャーキャンプで、周りのメジャー選手を見て自分もここに残るんだという気持ちでやっていましたけど、今年は自分の立場も踏まえて分かっているつもりなので、そこは上がりたい気持ちというのもありますけど、とりあえず去年と自分が変わったところ、自分が成長しているところを見せていこうかなと考えていますね。

 去年は真っ直ぐのコマンド、制球をマイナーでしっかりやって来てくれと言われていたので、そこを中心的にやりましたし、その中でフォーシーム以外にもツーシーム、チェンジアップの真っ直ぐ系もマイナーでしっかり磨いてきたので、それを見せていければいいかなという感じですかね。自分的にも手応えが良かったので、右左の打者関係なく(持ち味の)スライダーだけでなく幅が広がったピッチングを見てもらえればと思います」

 マイナー契約から招待選手としてメジャーキャンプに参加するのは大谷翔平選手と同じ境遇だ。しかしスター候補選手として周囲の関心を一身に集める大谷選手と、一度NPBから戦力外となり米国でゼロからのスタートを切った中後投手とでは、“メジャー昇格”の重みは雲泥の差がある。この2年間メジャー昇格の最低条件である「40人枠」に入らずにプレーを続けてきた身だからこそ夢を叶えたい思いも格別だ。

 「自分としては区切りのいい3年目ですし、そんな長いことできないというのは決めているので、それ(メジャー昇格)に関してはやっぱり絶対に上に上がりたいです。でもそれが無理だったとしても得るものはたくさんあると思うので、その中でも上がる、上がらないは関係無しに、このアメリカでやってきた2年間、ロッテでやってきた4年間を含めて自分の力を出し切りたいですね。

 まあ今年で終わりというわけではないんですけど(笑)、もう若くはないので身体と相談していきながらも無理せずに…。でも身体も強くなってきているので、怪我なく自分が目指してきた、納得できるピッチングを1試合でも多くしたいですよね」

 中後投手にとってメジャー昇格という壁はとてつもなく巨大だ。だが米国挑戦3年目を迎えた今年は、その壁を乗り越えるため全身全霊で挑んでいく覚悟だ。もちろん今回のキャンプでも1分1秒たりとも無駄にするつもりはない。今年チームに加わった平野佳寿投手と過ごせる時間も大切にし、多くのことを学び取りたいという意欲を覗かせている。

 今シーズンは中後投手が「石の上にも三年」を体現できる年であるこを願うばかりだ。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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