大谷翔平に託された名将マイク・ソーシアの命運
2018年が幕を開けた。
今シーズンのMLBは、スプリング・トレーニングからエンゼルスに移籍した大谷翔平選手が日米で話題の中心になることだろう。ベーブ・ルース氏以来の本格的な二刀流選手の登場で、同氏以来の100年ぶりの10勝&10本塁打達成に期待がかかるところだ。
20チーム以上が獲得に乗り出す中で大谷選手の獲得に成功したエンゼルス。すでにチームが全力を挙げて二刀流挑戦をサポートすることを約束しているが、それは彼のためだけでなく、チームとしても大谷選手の投打に渡る活躍を期待しているからだ。日本ハム同様に、二刀流の成功がそのままチームの浮沈のカギを握っているといっていい。
それはつまりシーズンを通して故障させずに大谷選手の能力を最大限に引き出せるか、マイク・ソーシア監督の采配にかかっていることになる。2000年からエンゼルスの指揮をとり、現役監督の中で最長政権を築いているソーシア監督。ここまで現役監督第2位の通算1570勝を記録するなど、今やMLBでも名将の1人に挙げられる存在になっている。だが本格的な二刀流選手を起用するのは初めての経験であり、栗山英樹監督が直面し続けたように、大谷選手と向き合いながら日々試行錯誤を続けていくことになるはずだ。
しかしソーシア監督にはじっくり大谷選手の起用法を考える時間的余裕はないし、今シーズンもしっかり大谷選手を使いこなさなければならない。実は2009年1月に合意していた10年間の契約延長が今シーズンで切れるのだ。しかも現時点で2019年以降の契約延長は未定になっている。
ソーシア監督は2002年にチームをワールドシリーズ制覇に導き、計5度の地区優勝を飾っているものの、契約延長に合意した2009年以降に限れば2009年と2014年の2回しかポストシーズンに進出できていない。今シーズンに地区優勝するか、最低限でもポストシーズンに出場できないようであれば、エンゼルスは遂にソーシア監督と袂を分かつことになるだろう。まさに今シーズンのソーシア監督は“待ったなし”の状況なのだ。
繰り返しになるが、エンゼルスが地区優勝するためには大谷選手の投打に渡る活躍が必要不可欠だ。二刀流を引き出すソーシア監督の采配が、そのまま自らの命運を左右することになる。改めて名将の手腕が試されるシーズンになりそうだ。