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混戦模様の西地区首位攻防戦を戦い終えた両チームHCが見据える今季のBリーグ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
西地区首位攻防戦となった京都ハンナリーズ対琉球ゴールデンキングス戦

 5勝3敗で西地区首位に並ぶ京都ハンナリーズと琉球ゴールデンキングスが25日、今シーズン初対決に臨んだ。

 昨シーズン西地区覇者のシーホース三河が中地区に移り、シーズン開幕前から混戦模様が予想された西地区。第4節を終えた時点で、まさに“本命なき戦国時代”の様相を呈している。

 残念ながら首位攻防戦は期待したような接戦にはならず、84-62で琉球が快勝し昨シーズンのチャンピオンシップ進出チームの維持を見せつけた。だがシーズンは始まったばかり。両チームのヘッドコーチ(HC)ともに、西地区のみならずBリーグ全体の混戦模様を予測してる。

 まず琉球の佐々宜央HCは西地区を含め、今シーズンをどのように感じているのだろうか。

 「もちろん希望としては(西地区の混戦から)抜け出したいです。アーリーカップも含めうちが西地区でやっていないのは大阪だけかな…。(すべてのチームが)非常に手強い相手です。僕も正直思っているのは、東はタレントが揃っているんですけど、西の方はチームで戦うチームが多いので、まあ先週も大阪が千葉に勝ったりしています。

 琉球もそうですけど西地区はリーグ内で格差があると言われているじゃないですか。まあそういうのは違うぞというのは我々も持っていますし、他のチームも持っていると思います。正直今年は全体的に(特定のチームが)飛び抜けるということが僕はないと思っています」

 佐々HCが指摘するように、西地区内は混戦が続く一方で、各チームが東地区や中地区との強豪チーム相手に善戦しているのも事実だ。それだけ佐々HCもリーグ内の実力差が解消されつつあるのを実感できているようだ。それは京都の浜口炎HCも同じ意見だ。

 「うちに限らず西地区はどこが勝っても、どこが負けてもおかしくない状態だと僕は感じています。タレント的には琉球さんが1つ抜けているかなという印象なんですけど、ここからどこのチームが抜けていくかなという気がします。

 バスケットは基本的に“たら・れば”はないんですけど、前半うちがフリースロー(FT)で第1クォーターを繋いでいけば、あそこまでダメージを受けなかったですし、ワイドオープンの3ポイントも何本か打っていますので、そこが入っていればという部分が多いです。実はターンオーバーの数もうちの方が少なくて、FTもうちの方が多くもらっているんですよね。そういう意味ではゲームの流れを掴みながらプレーできれば毎回のように20点差が出る(実力差)とは感じていないです」

 京都もここまで昨シーズンのチャンピオンシップ進出チームの三遠や千葉を破っている。もはや西地区だけが実力が劣っているとは言えない状況だろう。

 両HCのみならず、実際にプレーしている選手たちもリーグ格差がなくなっていることを実感している。川崎ブレイブサンダースから京都に移籍してきた日本代表候補の永吉佑也選手も以下のように話している。

 「今年、来年、再来年とシーズンを重ねるにつれて、もっともっと(実力差がなくなっていく状況に)なっていくのかなというのを感じています。それだけバスケットボール界のみんなが必死になっている証拠だと思います。

 実際去年川崎に在籍していた時には正直チーム格差というのを感じてたというところはあったんですけど、多くの選手が入れ替わって僕も京都に来て、逆に川崎になんて負けるわけないなというふうに思えてます。(強豪チームに)勝てないわけはないと思えるくらいいいチームです。本当にどのチームも間違いなくレベルアップしていて、どこかに絶対勝つなんて保証はまったくないと思います」

 京都、琉球ともに多くの新戦力を迎えまだチームとして完全に機能しているわけではない。本当の実力を発揮するのはもう少し時間を要するだろう。いずれにせよ京都、琉球を筆頭に西地区チームの台頭が、2年目のBリーグをさらに面白くしてくれそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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