MLBコミッショナーが大谷翔平の移籍を歓迎
今回MLBのロブ・マンフレッド=コミッショナーへの取材を行ったのはAP通信だ。日米メディアが大谷翔平選手の来シーズンからMLB挑戦が濃厚になったと大々的に報じる中、昨年12月に施行された新労使協定により契約金、年俸が制限される状況についてコミッショナーに見解を求めている。
まずマンフレッド=コミッショナーは「オオタニは素晴らしい選手だ。MLBに素晴らしい選手を迎え入れるのは常に我々の関心事だ」と諸手を挙げて歓迎の意を示す一方で、「ただ自分の立場からすれば、彼が来年もしくは2年後に来るかどうかよりも、しっかりとした制度を設けることにより関心がある」とし、NPBとの間で協議が続いている新ポスティング制度作りに意欲を示している。
すでに各メディアが報じているように、新労使協定から「外国人プロ選手」扱いされる規定が23歳から25歳に引き上げられたことにより、大谷選手もドラフト対象外(米国、カナダ、プエルトリコがドラフト対象)の「外国アマチュア選手」として扱われるため、キューバやドミニカなどの若手有望選手を獲得するのと同じ手続きを踏まなければならない。
そのためMLB全チームが大谷選手に提示できるのはマイナー契約のみで、契約金に関しても各チームに振り分けられたプール金(ドラフト指名権の違いにより上限が475万ドル、525万ドル、575万ドルの3種類に分けられている)の中でしか支払うことができない。このプール金もほとんどのチームが今シーズン割り当て分を使い切っており、AP通信によれば、もし大谷選手が来シーズンからMLB挑戦を決めた場合、契約金として支払える最高金額はレンジャーズの353万5000ドルで、それに続くのがヤンキースの325万ドルらしい。
ちなみに大谷選手の獲得に興味を示しているドジャースやカブスはプール金の上限を超えてしまっているため、規則違反により契約金は30万ドルしか用意できない状況だ。
また大谷選手の場合はさらに「FA権取得前のNPB所属選手」という側面があるため、新労使協定とは別にMLB、NPB間で結ぶポスティング制度を併用しなければならなくなるわけだ。マンフレッド=コミッショナーは現在、今年10月に失効する現行制度に代わる新ポスティング制度妥結に向けNPB側と協議を重ねている最中というわけだ。
そんな中、巨人の老川祥一オーナーが13日にMLBとの協議内容についてメディアに公表したことを受け、マンフレッド=コミッショナーは「協議者の一方から提出された協議案について公にされるのは遺憾に思う。彼が発言したことについて、その内容を認めるつもりはない」と不快感を示している。
マンフレッド=コミッショナーは新ポスティング制度にとらわれず、最終的に外国人選手獲得に関する統一規則の設定を目指しているようで、同じく外国人アマチュア選手を受け入れているNPBとしても明確なビジョンを持って協議に臨むべきだろう。