MLB最古の球場でファンによって掲げられた衝撃的な垂れ幕

フェンウェイ・パークのシンボルであるグリーン・モンスター(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月13日のレッドソックス対アスレチックス戦で、何とも衝撃的な出来事が行った。

 試合が行われたのはレッドソックスの本拠地球場であるフェンウェイ・パーク。MLB最古となる1912年に開業した同球場は、左翼に広がる大きなフェンス『グリーン・モンスター』がシンボルとして知られ、米国中の野球ファンから愛されている。このグリーン・モンスターにファンが試合中に“ある内容”の垂れ幕を掲げたのだ。

 4回が始まった時のことだった。4人の若者がグリーン・モンスター上部にある観客席から黒字の布に文字が書かれた垂れ幕を広げた。そこには以下のようなように記されていた。

 「Racism is as American as baseball.(人種差別は野球と同じくらいアメリカ的なものだ)」

 現場で取材していたレッドソックス番記者の1人、ジェン・マカフリー記者も写真付きのツイートをアップするとともに、詳細記事をまとめている。

 この垂れ幕は数分後に球場セキュリティに撤去された。球団もすぐに声明を発表し、「4人のファンによって掲げられた垂れ幕は球場内に勝手に垂れ幕や看板を設置することを禁止している球団規則に違反しており、ファンは速やかに球場外に退出させました」と説明している。

 また4人のうちの1人は球場セキュリティに対し、今回の行動は『Black Lives Matter(2012年に設立された黒人の解放を推進することを目的にした活動団体)』の活動に触発されたものだと話しているという。

 ただこの垂れ幕がファンの間で思わぬ波紋を広げているようだ。内容が人種差別に賛成しているとも受け取られるものだったため、今回の行為の関連記事やツイート上で戸惑いを現すコメントが数多く寄せられている。

 同球場では今年4月にも、試合中にファンがオリオールズのアダム・ジョーンズ選手に対し人種差別的な発言を行い、ボストン市長が謝罪声明を発表し、球団が当該ファンを永久追放処分にするなどの騒ぎが起こっていた。

 残念なことではあるが、今年に入り深刻さを増しているアメリカに巣喰う社会問題が少しずつスポーツ界にまで入り込もうとしているようだ。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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