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リハビリ中の川崎宗則が心境吐露「野球ができないのが一番ストレスが溜まる」

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
筑後のファーム施設で治療とリハビリの日々を送る川崎宗則選手

 ソフトバンクの川崎宗則選手が両足アキレス腱痛のため登録抹消されたのは7月24日のことだった。当初は早期復帰も期待されていたが、1ヶ月以上経った現在も筑後のファーム施設で治療とリハビリの日々を過ごしている。

 「良くはなってきていたんですが、また状態が悪くなったりと、その繰り返しですね。またぶり返す可能性が高いとトレーナーからも言われていますし、僕もしっかり治さないいけないと思ってます。(100%の状態でないと)プレーしていて楽しくない。いつまで(に復帰する)と決めてしまうと、またそれがおかしくなってしまうこともある。ただ極力早く治したいとは思っているんですけどね…」

 登録抹消された当時はチームは楽天と激しい首位争いを演じており、川崎選手も多少痛みが緩和したら1軍復帰を目指すつもりだった。しかしアキレス腱の状態は一進一退を続け、さらにチームも徐々に独走態勢を整えたこともあり方針を転換。現在はアキレス腱を完治させるためまず炎症を100%消すことに集中している。アキレス腱以外の体調は万全なので、アキレス腱さえ戻れば復帰まで時間はかからないだろう。

 米国の5年間はマイナーでプレーすることも多く、トレーナーのケアを受けにくいため人一倍身体やコンディショニングに気を遣い研究も重ね、大きな負傷もなくプレーし続けることができた。ところが6年ぶりの日本球界復帰で味わった久々の負傷。しかもアキレス腱を痛めるのは川崎選手にとって初めての経験だけに、精神的なダメージは決して少なくはなかった。

 「ショックはでかいですよ。野球ができないのが一番ストレスが溜まるし、身体が動かないとのもストレスにしかならないので…。精神的にきついですし今は辛い時期ですけど、せっかく日本にいるので日本の選手たちのプレーを身ながらいいイメージを沸かせてます。これも何か(自分の野球人生にプラスになることが)あると思って今はやっています」

 今回の負傷は環境の変化が大きく影響したようだ。米国では基本天然芝球場でプレーしてきた(確かにブルージェイズは人工芝球場だが、遠征に出れば天然芝)。ところが日本はパ・リーブの場合楽天以外5チームが人工芝球場だ。どうしても身体への負担が大きくなってしまい、徐々に身体に疲労が蓄積してしまったらしい。

 「身体のハリが違いましたね。あれ?とは思ってたんですけど、大きな筋肉を痛めるのではなくアキレス腱に出てしまいました。ふくらはぎが張ってきたという部分もあったんだと思います。

 昔はそんなことを考えずにやってきたけど、今までの環境と違うわけだから、そこはしっかり準備しないといけない部分だと思いました。それは良かったです。またそこ(アキレス腱やふくらはぎ)のトレーニングやメンテナンスをしっかりやっていきたい。これから日本でやるには(そうした準備が)大事なんだなと改めて思いました」

 米国での5年間は常に野球と真摯に向き合い、その時々の課題を克服していきながら自分のスタイルを築き上げていった。6年ぶりの日本でもこれまで同様に、新しいスタイルの構築を目指していた。だからこそ今回の負傷も無駄にするつもりは毛頭ない。川崎選手の説明通り、着実に新しいスタイル作りの血となり、肉にしようとしている。

 次回川崎選手が1軍のグラウンドに立つ時は、100%の状態で戻ってくる。そしてまた1つ新たな課題をクリアし、人工芝球場をものともせず思う存分躍動してくれることだろう。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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