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MLBが史上3人目の5000試合出場達成のベテラン審判を出場停止処分に

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
MLBから3試合の出場停止処分を受けたジョー・ウェスト審判(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ジョー・ウェスト氏の出場停止処分を報じたのは、ロサンゼルス・タイムズ紙のビル・シャルキン記者のツイートだった。ウェスト氏が所属する『ワールド・アンパイア協会(WUA)』からの情報を元にしたものだ。

 ウェスト氏といえば、史上最年長のMLB在籍39年を誇り、今シーズンに史上3人目の通算5000試合出場を達成したMLB史上屈指のベテラン審判だ。1976年の23歳で自身初めてMLBの公式戦で審判を務め、1978年からナ・リーグの審判員として正式採用されて以降、審判一筋で実績を積み上げてきた。プレーオフ通算出場でも123試合を数え史上2位にランクし、ワールドシリーズ出場数に至っては史上最多を誇っている。

 今回MLBから処分を受けた理由は、通算5000試合出場を機に6月20日に『USAトゥデー』紙で組まれたウェスト氏の特集記事だという。同記事のインタビューに応じたウェスト氏が、先日3000本安打を達成したレンジャーズのエイドリアン・ベルトレ選手を「MLB最大のクレイマー」だとし、以下のように話しているのだ。

 「自分がストライクをコールする度に、彼は『おい、おい、おい』と言ってくる。なので自分は『君は偉大な野球選手かもしれないが、審判としては最悪だね。ひどいもんだ』と言い返しているよ」

 MLBはこの発言が問題視し、3試合の出場停止処分を決めたようだ。だがUSAトゥデー紙の原稿を読む限り、ベルトレ選手とは友人関係にあることも明らかにしている。発言の内容から考えても、友人だからこそ言えるジョーク的な意味合いの発言に思えるのだが…。

もちろんウェスト氏が所属するWUAは、この処分を不服とし、提訴する意向を示している。以下がWUAの声明だ。

 「ジョー・ウエスト氏は、1976年からMLBに所属し、これまで6人のコミッショナーの元で審判を務めてきた最も実績のある審判だ。彼はフェアプレーの精神に基づき、通算5000試合以上の試合を任され、引き続き史上最多出場を目指している途中にある。今もグラウンドに立つべき存在だ」

 多少MLBのオーバーリアクションにも思える今回の処分だが、果たしてWUAの提訴は認められるのだろうか?

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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