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MLB通算81本塁打のアイク・デービスがマイナーで投手デビュー

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
メッツ在籍時はシーズン32本塁打を記録しているアイク・デービス選手(写真:ロイター/アフロ)

 MLBファンの方なら『アイク・デービス』という名を1度は聞いたことがあるのではないだろうか?

 2010年に23歳ながらメッツでメジャー・デビューを果たすと、その年に147試合に出場し19本塁打、71打点を残し、新人賞部門で2位に入る活躍をみせた。さらに2年後の2年後の2012年には32本塁打、90打点を記録し、“長距離砲一塁手”として順調にステップアップしていった。

 しかし2013年以降から極度の打撃不振に陥ると徐々に出場機会を減らし、2014年シーズン途中でパイレーツにトレード。2015年はアスレチックス、2016年はレンジャーズ、ヤンキースと渡り歩いたものの打撃復活の兆しは見られず。今シーズンもドジャースとマイナー契約を結びメジャー・キャンプに参加していたが、開幕メジャー入りを果たすことができなかった。

 シーズン開幕後は3Aに回っていたが、35試合に出場し、打率.212、4本塁打、12打点と低調だったこともあり、どうやら知らぬ間に投手転向を決意していたようだ。

 元々投手としての素養は持ち合わせていた。アリゾナ州立大時代はリリーフ投手としても活躍し、カレッジ・ワールドシリーズにも出場しているし、父親のロン・デービス氏は1981年のヤンキース在籍時にオールスター戦出場を果たした投手だった。さらに自身も2015年のアスレチックス在籍時に、2度のMLB登板経験を持ち、いぜれも1回を無失点に抑える好投を演じている。

 投手転向しての今回のデビュー戦についてはMLB公式サイトが詳細をレポートしているのだが、ドジャース傘下のアリゾナのルーキーリーグに回り、8月6日に行われたパドレス戦に5回から登板し、1回を3者三振に抑えている。

 2年前にアスレチックスで登板した際は平均球速は86~87マイル(138~140キロ)だったが、今回の登板では88~92マイル(142~148キロ)にアップしていたようだ。球速だけならMLBでも十分に通用する域に達している。

 30歳にしての投手挑戦は決して簡単ではないだろう。だが身長193センチを生かした左腕投手はMLBでも十分に魅力的な存在だ。再びデービス“投手”がMLBのグラウンドに立つ日は訪れるのだろうか…。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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