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元祖“パンダ”が古巣ジャイアンツに復帰か?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
19日にレッドソックスから解雇されたパブロ・サンドバル選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

先頃阪神に途中入団したジェイソン・ロジャース選手が“パンダ”のニックネームを広めようとしているが、MLBで“元祖”パンダ(正確には“カンフー・パンダ”)といえば、パブロ・サンドバル選手だ。残念ながら14日にレッドソックスからDFA(40人枠から外される措置)された後、19日に正式に解雇される身となっていたのだが、早くも古巣ジャイアンツ復帰が決まったというのだ。

速報記事を流したのがMLB公式サイトだ。まだジャイアンツは正式に認めていないが、情報筋が契約合意を明かしたとしている。

サンドバル選手は2008年にジャイアンツでMLBデビューを飾ると、翌2009年からレギュラー三塁手に定着。貴重なスイッチヒッターとして主軸を任され、2012年のワールドシリーズではMVPも受賞している。そしてFA資格を得た2014年オフにレッドソックスと5年9500万ドル(約107億円)と大型契約を結びジャイアンツを離れていった。

だがレッドソックス移籍以降はニックネームの由来となった丸い体型からもわかるように、体調管理がうまくいかなかったこともあり負傷が続いた。2015年に126試合に出場していたものの、2016年以降はわずか35試合の出場に留まっていた。レッドソックスはそんなサンドバル選手に見切りをつけてDFAしたわけだが、2019年まで有効の契約年俸の残り約4900万ドル(55億4000万円)を支払う義務を有している。

もし仮にジャイアンツがDFA直後のウェーバー期間中に獲得に手を上げていれば、残り年俸の支払い義務はジャイアンツに移行していたが、そんなリスクを負うはずもない。速報記事からも解るように、別途安価なマイナー契約で獲得できる解雇措置を待っての動きとなった。サンドバル選手にとっても高額年俸は保証されている上新しい所属先がすぐに決まるのだから、まさに渡りに舟といったところだろう。

ただこの速報記事が流れた後、米国最大のスポーツ専門TV局『ESPN』のマーリー・リベラ記者が本人を直撃したところ、「結論を出すのは金曜日まで待ちたい。ジャイアンツはオプションの1つだが、数チームが興味を持ってくれている」と契約合意を否定している。

とにかく近日中にサンドバル選手の新たな移籍先が決まるのは間違いなさそうだが、いずれにせよ新しいチームにとってサンドバル選手が“安い買い物”になったかどうかは、あくまで彼の今後の活躍にかかっている。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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