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怪力アーロン・ジャッジがMLB史上最速本塁打を放つ!

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
遂にMLB“最強”の名を手に入れた?ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

0-0の1回裏2死。第1打席に立ったジャッジ選手が1ボールから振り抜いた打球は、まさに閃光となり左翼フェンスを越えていった。この先制本塁打となった今季19号が、ジャッジ選手の怪力を証明する“ある”MLB新記録を樹立したのだ。

MLB公式サイトによると、MLBが2015年から試験的に導入し、今シーズンからTV中継にも導入されている最新データ計測システム『Statcast(スタットキャスト)』の計測で、ジャッジ選手が放った本塁打の打球速度が、過去最速の時速121.1マイル(194.89キロ)を叩き出したのだ。

これまでの最速は4月28日にやはりジャッジ選手がオリオールズ戦で放った本塁打で、同119.4マイル(192.16キロ)だった。

とはいえ、2015年に同システムが誕生して以来、本塁打の打球速度が同119マイルを超えたのは、2015年のジャンカルロ・スタントン選手が記録した119.2マイルの一度だけだったが、それをジャッジ選手は今シーズンだけで早くも2回超えているのだ。改めてジャッジ選手の怪力が“超メジャー級”であることをデータが裏づけた格好だ。

昨年8月にメジャー初昇格を果たし、フルシーズンを戦うのは今年が初めての25歳ではあるが、早くも球界に一大旋風を巻き起こそうとしている。この快進撃がいつまで続くのは定かではないが、2013年クリス・デービス選手が記録(53本)して以来の年間50本塁打を期待している自分がいる。

特に打撃に関しては左が有利と言われる野球の中で右打者で異彩を放つ存在が出現すると、個人的に自然と注目を注ぐ傾向にあるようだ。ちなみに右打者に限定すると、50本塁打以上記録しているのは2010年のホゼ・バティスタ選手の54本が最後だ。

脱ステロイド時代に入り、打球をより遠くに飛ばすことでファンを魅了できる選手が少なくなってきた中で、ジャッジ選手は打撃練習でもファンを集められる選手になれる逸材だ。かつてマーク・マグワイア選手の全盛期だった頃、ファンはおろか相手チームの選手でさえマグワイア選手の打撃練習をベンチに群がりながら見学し、驚嘆の声を挙げていたものだった。そんな光景をジャッジ選手に重ね合わせてしまう。

今やデビュー当時の輝きを失いつつあるスタントン選手の現状を考えると、ファンの期待通りに打ち続けるのは決して簡単なことではない。だが当面はジャッジ選手が、ヤンキース・ファン、MLBファンを興奮させてくれる存在であり続けるのは間違いなさそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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