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マーリンズが若手主力選手を大量放出か?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
トレード候補として名前が挙がったオズナ選手(右)とイエリチ選手(中央)(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

現地時間の6月4日に、スポーツ専門サイトの『The Score』がマーリンズに関する記事をアップした。

記事は、MLB界に多くの情報源を持ち、スクープ記事を次々にものにしているFOXスポーツのケン・ローゼンタール記者のレポートを引用したもの。内容は開幕から不振が続くマーリンズが、すでに今シーズンのプレーオフ進出を断念し、将来的なチーム改造を目指すべく7月31日のトレード期限までに若手主力選手たちを放出する方向で動いているというものだ。

具体的に3人の選手の名前が挙がっており、クリスチャン・イエリチ選手、マルセル・オズナ選手、JT・リアルミュート選手について獲得に興味があるチームなら誰とでも交渉する用意があるとしている。

すでにご承知の方も多いと思うが、長年低迷が続くチームはその再建策として、シーズン中に主力選手を大量に放出する傾向にある。7月31日までならウエーバーにかけることなくチーム主導でトレード交渉できるため、主力選手を放出する見返りとして将来を約束された有望マイナー選手を大量に獲得できるためだ。

つい最近では昨シーズンのヤンキースがチーム再建を目指し、マーク・テシェイラ選手、カルロス・ベルトラン選手、アンドリュー・ミラー投手、アロルディス・チャプマン投手ら高額主力選手を次々に放出し、さらにアレックス・ロドリゲス選手をシーズン途中で引退に追い込んでいる。そしてレギュラーに起用した若手有望選手たちが早くも台頭したため、今シーズンはア・リーグ東地区で首位争いを演じるまでになっている。

現在チーム売却で交渉中にあるマーリンズにとって、主力選手の放出は年俸総額を下げる一方で、若手有望選手をマイナー組織に集めることができるのだから、交渉相手に最高のセールスポイントにもなる。記事によると、最終的には2027年まで保証されている13年間で総額3億2500万ドル(約358億円)の大型契約を結んでいるジャンカルロ・スタントン選手も、オフには放出する可能性もあるとしている。

まだ6月に入ったばかりなのでまだ具体的な交渉は行っていないと思うが、プレーオフ争いを続けるチームにとってはマーリンズの若手主力選手は格好の補強ポイントになるのは間違いない。また彼らの動向次第で、残りシーズンのイチロー選手の起用法も大きく変わってくることなるだろう。

来月は今シーズンのトレード市場の売り手マーケットとして、マーリンズが注目を集めることになりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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