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WBC前回王者ドミニカを撃破したプエルトリコの強さの秘密とは?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
前回大会決勝の雪辱を果たしたプエルトリコ代表チーム(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

メキシコの1次ラウンドを取材していて率直に感じたのが、プエルトリコの強さだった。同じグループにベネズエラ、メキシコが入り激戦が予想されていたにも関わらず、まったく相手を寄せ付けない戦いを繰り広げた。

大会前にハビア・バエス選手から話を聞かせてもらい、彼らがWBCに賭ける意気込みはある程度理解していたつもりだったが、ここまで素晴らしいプレーをしてくるとは思いもしなかった。

「投打、守備すべてが揃っている。ベテランと若手が見事に融合したバランスが整ったチームだ」

まさにエドウィン・ロドリゲス監督の説明通り、チーム総合力は抜群だ。特にMLBに新風を巻き起こしているバエス選手、フランシスコ・リンドア選手、カルロス・コレア選手の若手トリオが毎試合溌剌としたプレーを演じ、チームに勢いをもたらしている。

だがそれ以上に印象的なのが、チームの結束力だ。もちろん試合に勝っているからそう見える部分もあるのだが、シーズンを戦いながら苦楽をともにし熟成していったプレーオフ進出チームのような雰囲気を醸し出している。チームを追いかけている地元メディアが、その理由を説明してくれた。

「とにかく選手みんなが仲がいいんだ。彼ら全員が参加するチャットルームがあり、暇があれば選手同志でやりとりしている。プライベートでもみんなで食事にでかけたり、まさに家族みたいな関係になっている。今選手たちが髪の毛を金色に染めているのも、皆で話し合って決めことだ。まさに結束力の表れだ。

チームを1つにまとめているのがキャプテンのヤディー・モリーナだ。彼がいつも選手たちに気を配り、声をかけ続けている。またMLBでも実績を残しカルロス・バイエガ、カルロス・デルガド、ホゼ・バレンティン、ホゼ・モリーナ、ホワン・ゴンザレスがコーチとして選手をサポートし、良き相談相手にもなっている」

確かにバエス選手から話を聞かせてもらった時も、プエルトリコ代表としてプレーするのを心待ちにしているのがヒシヒシと伝わってきたし、実際にメキシコで彼らの戦いぶりを見ても、本当に楽しそうにプレーしているのがわかる。

実は今年1月に行われたカリビアン・シリーズでプエルトリコが17年ぶりに優勝を果たし、国中が歓喜に沸いた。もちろんこのWBCでも国民全員が初タイトルを期待しており、まさに日本同様の盛り上がりを見せているという。

前回大会で準決勝で侍ジャパンを打ち破ったプエルトリコ。今回も最大のライバルになりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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