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カタールW杯後のJリーグ未招集組から”裏日本代表”26人を選んでみた。

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

森保一監督は6月のキリンチャレンジカップに向けた26人のメンバーを発表しましたが、国内組はGK大迫敬介(広島)と初招集の川﨑颯太(京都)、森下龍矢(名古屋)、川村拓夢(広島)の4人でした。

初招集組については前回のコラム「川﨑颯太、川村拓夢、森下龍矢。”森保ジャパン”初招集3人の起用法を探る。」にまとめましたが、これだけ欧州組が増えている状況であっても、やはり日頃Jリーグを観ている一人としては悔しい思いもあります。

そこで今回は”裏日本代表”として招集外のJリーガーを記者の視点で選んでみました。条件としては現在、怪我などで離脱中でないこと。カタールW杯後の”森保ジャパン”に未招集であること(町野修斗、西村拓真、藤井陽也が対象外)。大岩剛監督が率いるU−22日本代表の欧州遠征に招集されなさそうなことです。

この手の企画で”殿堂入り”として対象外にしてきた鈴木優磨(鹿島)も今回は”裏日本代表”なので対象としています。”国内組”ということでE-1選手権のような構成ですが、アジアを獲りにいけるメンバーだと自負しています。

今回は記者の視点と言っても、あまりきをてらわず、素直に活躍度と26人のバランスで選んでいます。

GKは総合的な評価に加えて、後ろからのビルドアップやハイラインのカバーができる3人を選びました。西川周作(浦和)はここで説明するまでもないですが、日本国籍を取得した朴一圭(サガン鳥栖)は状況判断に優れた選手で、攻撃の質を1つ上に持っていける存在です。一森純(横浜F・マリノス)はガンバ大阪からの期限付き移籍ですが、試合を重ねるごとにマリノスの戦術にフィットしており、秋にスタートするACLでの活躍も楽しみです。

ディフェンスラインはカタール後の未招集組ということで、酒井宏樹(浦和レッズ)を入れたのは反則気味ですが、過去に森保監督が招集したことのあるカタールW杯メンバー外組の奮起が目立つ選考となりました。もともと左センターバックが得意でありながら、努力で右を克服した畠中槙之輔(横浜F・マリノス)は再評価したい選手の一人です。

岩政大樹監督が率いる鹿島を支える植田直通(鹿島)は実力や安定感を考えれば順当ですが、左サイドバックの安西幸輝(鹿島)が守備面を見直して、攻守のバランスが良くなったことも軽視できないポイントです。中谷進之介(名古屋)は欧州組にも負けない対人の強度と統率力、岡村大八(札幌)は極めて攻撃的なチームの背後で獅子奮迅の働きが目立つ新進気鋭のセンターバックです。

初瀬亮(神戸)は両利きを生かして、左右サイドバックができるというのもポイントですが、神戸でプロフェッショナルの選手たちに刺激を受けて、J1首位を走る神戸をサイドから支えています。特に実力的には現在も代表クラスである酒井高徳の負傷離脱で苦しくなる中で、リーダーシップという部分も見逃せなくなってきています。佐々木翔(広島)は”鉄板枠”ですが、プレー強度の高さとリーダーシップという意味で”裏日本代表”には欠かせない存在です。

明本考浩(浦和)は”一家に一台”ということで、左右サイドバックはもちろんサイドハーフ、FW、ボランチもできてしまう究極のポリヴァレントとして、入れたいところです。ただし、主力として国際舞台で信頼するにはもう少し状況判断の精度やテンポアップの中での正確性を上げてほしいところです。

中盤は大島僚太(川崎)、齊藤未月(神戸)、佐野海舟(鹿島)、伊藤敦樹(浦和)という多士済々な構成ですが、ボールを奪えること、そこからボールロストなく縦に運べることをベースに、攻守でスペシャリティを発揮してほしい選手たちです。佐野海舟に関しては正直、メンバー選考のタイミングが怪我から復帰してすぐだったので、今回は代表スタッフも評価しにくかったかもしれません。これまで代表と無縁の伊藤敦樹もスケール感があり、今後の活躍次第で十分にチャンスがあるでしょう。

2列目は右が金子拓郎(札幌)、武藤嘉紀(神戸)、郷家友太(仙台)、中央に伊藤涼太郎(新潟)と浅野雄也(札幌)、左が汰木康也(神戸)と永井謙佑(名古屋)という構成です。複数ポジションができる選手も現在プレーしているポジションをベースに、2シャドーのようなポジションの選手もバランスを考えながら、左右中央に配置しています。伊藤涼太郎と浅野雄也もタイプが全く違うので、状況に応じた起用法で、監督は良い意味で頭を悩ませることになりそうです。

基本的にゴールやアシスト、ゴールにつながるチャンスクリエイトの継続性を評価して選びました。このポジションの欧州組を見ても、得点に絡むことが求められるので、いくら攻守に頑張っていても、数字を出せていない選手は外しています。それに加えてクオリティだけでなく、代表基準の強度を重視しています。

J2から一人だけ選んだ郷家はプレー強度という部分でJ1の上位にも通用するパフォーマンスを出していることに加えて、戦術的な適応力も評価しています。ボランチや2トップもこなせるので、今回の構成を考えても、明本と同じく多様なシチュエーションに対応してくれそうです。

1トップは大迫勇也(神戸)を筆頭に鈴木優磨(鹿島)、小柏剛(札幌)という実力と個性の両面を持った3人を選びました。今回は4ー2ー3ー1のフォーメーションに振り分けましたが、2トップなら大迫と鈴木のコンビが攻撃の牽引役としても、決定力でも頼りになりそうです。小柏に関しては昨年の1月に招集(怪我で辞退)されるなど、森保監督も高く評価する一人なので、結果を出し続ければ欧州組にもいないタイプのFWとして、リアルに招集チャンスがあると期待しています。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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