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上田綺世の海外移籍で急転。Eー1のFW枠に選ばれるJリーガーは!?

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

7月19日から27日まで行われるEAFF E-1選手権はインターナショナルマッチデー(IMD)に含まれないこともあり、日本代表の森保一監督は国内組のJリーガーで臨むことを明言しています。

その中でも気になるのがFW枠の編成。2022シーズンのJリーグで得点ランキングトップの10ゴールを記録し、最終予選や6月シリーズにも招集されている上田綺世がエース候補として期待されましたが、鹿島アントラーズからベルギーのセルクル・ブルージュに移籍することが確定し、渡欧しての正式契約を残すのみとなっています。

鹿島から世界へ羽ばたくストライカー。上田綺世が欧州で活躍する条件」にも書いたとおり、今年のJリーグで”無双状態”だった上田綺世がベルギーで活躍し、欧州でさらなるステップアップにつなげていけるか、そして半年を切ったカタールW杯のメンバーに食い込めるかも気になるところで。

それに関しては上田綺世の取材をベースに「ベルギー移籍の上田綺世は欧州でどこまで上り詰めるのか。その言葉から海外挑戦のビジョンを読み解く」でまとめていますが、差し迫っているのは E-1選手権のメンバー選考です。

上田の去就に関わらず、A代表初選出が期待されていたのは町野修斗(湘南ベルマーレ)です。「領域展開」をキャッチフレーズとする大型ストライカーは上田に続く8得点をマークし、その決定力と前線でのスケール感は日本代表にも相応しく、今回の E-1選手権を足掛かりに国際レベルのストライカーへと飛躍する可能性は十分にあります。

しかし、2日に行われた名古屋戦で終盤に相手選手との接触で転倒。足を痛めて退場しており、湘南の山口智監督は「たぶん捻挫だと思います。痛そうにしていた」と語り、診断結果によっては招集が見送られることも考えられます。本人の意気込みも感じただけに残念ではありますが、湘南が残留争いの渦中にあることも考えれば、無理なく良いコンディションでリーグ戦に復帰できるように整えて欲しいと思います。

本職のFWとして有力候補に挙げられるのが鈴木優磨(鹿島アントラーズ)です。言わずと知れた経験豊富なストライカーで、2018年には鹿島に悲願のACL優勝をもたらす原動力になりました。その年キリンチャレンジカップのメンバーにも選ばれましたが、怪我により辞退しています。

それ以降はベルギーのシント=トロイデンでゴールを量産しながら”森保ジャパン”に招集されず、ファンサポーターの間では憶測も飛び交いました。森保監督は選考対象の一人であることをコメントしていますが、もし選ばれることがあれば、鹿島の先輩である大迫勇也も外れることが見込まれる状況で、ストライカーとしてだけでなく、チームリーダー的な存在としても期待がかかります。

そのほか、U−23アジアカップで活躍した細谷真大(柏レイソル)は成長著しいFWで、Jリーグでも鈴木優磨と同じ6得点を記録しています。森保監督がパリ五輪世代であるU−21代表からも数人は招集する意向を示していることから、上田不在、さらに新進気鋭の町野も見送られるとなると、最有力の一人であることは間違いありません。

同じくU−21代表で、今年1月の国内合宿でA代表を経験した鈴木唯人(清水エスパルス)もいわゆる本職FWではありませんが、アタッカー枠としては有力視されます。ただし、U−23アジアカップから復帰後の天皇杯、リーグ戦とベンチ入りしておらず、間近に迫るE-1選手権の選考から外れる可能性も出てきました。

そうなってくると候補が広がってきます。”森保ジャパン”での招集経験もある武藤嘉紀(ヴィッセル神戸)は負傷などで直近の代表から外れていたこともあり、鳥栖戦で勝利をもたらす2得点を決めた勢いをE-1選手権に持ち込み、カタールW杯の滑り込みへの猛アピールのチャンスになります。

西村拓真(横浜F・マリノス)も現在はセカンドトップで起用されていますが、7得点と好調で、しかも無尽蔵の運動量で攻守に奮闘できるプレースタイルは現在の代表メンバーにも無い強みを加える可能性があります。森保監督は「MF/FW」というカテゴライズをしており、フルメンバーでいう南野拓実のような立ち位置になるかもしれません。

満田誠(サンフレッチェ広島)も有力候補ですが、シャドーで固定さているクラブよりも幅広い起用法が考えられます。知念慶(川崎フロンターレ)も実力的には十分に資格があるのですが、彼も18日のリーグ戦で負傷交代しており、7月2日のセレッソ大阪戦も欠場したことを考えると今回のE-1選手権は難しいかもしれません。

ここからは”サプライズ”枠となりますが、山岸祐也(アビスパ福岡)も4得点という記録以上に前線での存在感があり、幅広いポストワークと前を向いてボールを持った時の推進力は日本代表でもストロングになり得ます。垣田裕暉(サガン鳥栖)は前半戦の鳥栖での起用法を考えると候補にしにくかったですが、ここ数試合で上昇しており、急浮上してきています。

元U−17代表の山田寛人(セレッソ大阪)もスケール感のある1トップタイプとして、フルコンディションなら有力候補になりうるのですが、川崎戦でようやく復帰してきた状況なので、今回は名前をあげるに留めます。現役大学生の森海渡(柏レイソル)もリーグ戦4得点で、大型FWとしてのポテンシャルは十分ですが、柏でのスタメンが2試合しかないことを考えると時期尚早かもしれません。

そしてガンバ大阪に加入が発表された鈴木武蔵は”森保ジャパン”の経験者で、急転直下のメンバー入りが無いとは言い切れませんが、選手登録のタイミングを考えると13日のメンバー発表までんじチェックするチャンスが無く、難しいかもしれません。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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