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前田大然の選出で揃った快速4人。伊東、古橋、浅野、前田。日本代表の「トップガンズ」が世界をかき回す。

河治良幸スポーツジャーナリスト
写真提供: 横浜F・マリノス

日本代表の森保一監督はアウェーのベトナム戦、オマーン戦に向けた27人のメンバーを発表しました。

コロナ禍でのチームマネージメントも考えた上で、試合の23人枠を4人上回る27人を招集した形ですが、東京五輪世代から新たに三笘薫(サンジロワース)と旗手怜央(川崎フロンターレ)が加わり、2年前のコパ・アメリカでA代表を経験している前田大然(横浜F・マリノス)と上田綺世(鹿島アントラーズ)もいわゆるフルメンバーのA代表は初招集となります。

今回、特に欧州組にはベトナムへの移動の負担が大きく、さらにオマーンでは酷暑での試合が待つなど、現在2勝2敗の日本にはかなり厳しい戦いになることは間違いありませんが、その中でも楽しみな要素があります。

伊東純也(ゲンク)、古橋亨梧(セルティック)、浅野拓磨(ボーフム)にJリーグを代表するスピードスターである前田大然が加わり、世界でも通用するスピードを誇る4人のアタッカーが揃いました。日本代表の「トップガンズ」とも呼べる4人を森保監督がどう活かして行くのか。

「海外ではほとんどスピードがある中で、日本は組織でしっかり戦うと。それはそれで良いですけど、そこにプラス、自分たちのような選手がかき回せば本当に良い成績を残せると思うので。そういう組織の中に個人のスピードのある選手が入って、うまく融合できればいいかなと思っています」

そう語るのは横浜F・マリノスの前田大然。目標だった東京五輪では出場時間も限られる中で消化不良に終わりましたが「オリンピックが終わってからもチームに帰ってすぐに、チームで結果を出すために切り替えて結果を残したいという思いでここまでやってきた」と振り返る通り、ここまでJ1でトップの18ゴールを記録しています。

「オリンピックだったり、海外(ポルトガル)も1回経験したり、色んなことを経験して、色んな試合をしてきて、その中で自分のスピードをうまく使えるようになってきたのかなと。自分の中では良く分かってないんですけど(笑)、感覚的にできている」

相手ディフェンスの裏を突くスピードはもちろんのこと、前線からのディフェンス、さらに細かいコンビネーションでも持ち前のスピードを生かせるようになり、相手にとっては非常に厄介な選手になってきています。

その前田大然にとっても右サイドで主力に定着している伊東純也はもちろん、スコットラインどのセルティックでゴールを量産する古橋亨梧、前回のオーストラリア戦で鋭い仕掛けから、劇的な決勝ゴールを誘発した浅野拓磨ともに強力なライバルであり、23人の枠を考えればタイプの違う三笘薫や上田綺世も競争相手になります。

ただ、夢があるのは4人の快速アタッカーを生かした攻撃の構築。それがベースでなくオプションであったとしても、世界に脅威を与える武器になる可能性をひめています。実際、オーストラリア戦の終盤には伊東純也、古橋亨梧、浅野拓磨の3人が前線に並び、屈強なオーストラリアのディフェンスを大いに困らせました。

そこに前田大然が加わることで、どんな可能性が広がって行くのか。もしかしたら試合展開や時間帯次第で、4人が並ぶようなこともあるのか。楽しみはW杯の本大会で、それこそ日本にとっても”格上”とも言える相手との試合に取っておく方が良いかもしれませんが、危機的な状況の中で何か大きな変化、前向きな変化を生み出す1つのトリガーとして期待したいところはあります。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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