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2021シーズンのJ2で輝きを放つヤングタレント7

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

J2は第10節まで終えて、シーズンの4分の1に差し掛かるところですが、早くも躍動している若手選手たちがいます。今回はその中から7人を厳選して紹介します。

なお、これまでJ2全体を通した企画でも再三登場している本間至恩(アルビレックス 新潟)は”殿堂入り”で対象外とします。

川村拓夢(愛媛FC)

サンフレッチェ広島から2019年に期限付き移籍で加入して3シーズン目。監督交代までどん底にあった愛媛で気を吐き、左足とセンスを発揮。實好体制で藤本 佳希など周囲とのコンビネーションもさらに良くなり、ここまで4得点をあげている。ボールを持っての仕掛けはもちろん、オフでゴール前に入る動きも非凡で、彼を抜きに躍進は語れないだろう。ガンバ大阪から育成型期限付きで新加入の唐山翔自とホットライン開通なるか。

佐野海舟(FC町田ゼルビア)

「かいしゅう」の名前通り、ボールを回収する能力に優れる精力的なボランチ。昨シーズンから守備面で高い能力を見せていたが、長崎戦では見事なスルーパスで吉尾海夏のシュートをアシストするなど、攻撃面でも成長も目を引く。その吉尾、高江麗央、平戸太貴と形成する中盤はJ2随一の強度と言っても過言ではない。

長谷川元希(ヴァンフォーレ甲府)

大宮ユース時代はテクニカルなタレントとして鳴らしたが、法政大学でハードワークを磨き、大卒ルーキーながらいきなり躍動的なプレーを見せている。デビュー2戦目となった長崎戦では後半から驚異的な存在感を示して、第7節の松本戦ではCKのこぼれ球を押し込む形とヘディングシュートで2得点。さらにセットプレーからアシストも決めた。うまさと強さを兼ね備えたセカンドアタッカーだ。

池田廉(FC琉球)

ここまで2位と躍進する琉球のトップ下を担い、多くのチャンスに絡みながら4得点を記録している。二列目からの飛び出しが鋭く、味方のラストパスに合わせるだけでなく、こぼれ球に飛び込む嗅覚と勝負強さも備える。琉球は風間宏矢や阿部拓馬などコンビネーションの意識が高い選手が揃う中で、意外性を加える存在になっている。

川﨑颯太(京都サンガ)

昨年はU−19日本代表に選ばれており、今年U−20W杯という目標が無くなってしまった状況でも、新体制の京都で着実に成長を見せている。運動量とバランス感覚を備える選手で、アンカーのポジションからユースの先輩である福岡慎平や個人能力に優れる三沢 直人などの良さを引き出している。課題は大事な時間帯で勝負を決めるプレーだ。

高宇洋(アルビレックス新潟)

ガンバ大阪から2シーズン山口でプレー。しかし、古巣復帰ではなくアルベルト体制2年目の新潟に完全移籍となった。もともとボールを奪う能力は同世代で飛び抜けていたが、山口で課題のビルドアップを学んだ。新潟では配球に磨きをかけ、スペースを見つけて使っていくビジョンも高まっている。エースの本間至恩やディフェンスリーダーの千葉和彦に負けず劣らず、首位を走る新潟には欠かせない一人。東京五輪の候補であり、J2でプレーしている不利はあるものの、実力的には最終メンバーに滑り込んでもおかしくない。

森俊貴(栃木SC)

アカデミー育ちの10番。ストーミングを掲げる栃木にあって攻守の切り替えやデュエルで高いスタンダードを示しつつ、攻撃で違いを生み出す。大卒ルーキーだった昨シーズンから頭角を表していたが、同期の明本考浩が浦和に移籍して迎えた今シーズンはチームの推しも推されぬ中心として攻守の奮闘、そしてフィニッシュの意識が際立っている。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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