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夏山シーズン到来、クールな登山者がしている山小屋9つのルール 

加藤智二日本山岳ガイド協会認定山岳ガイド・カメラマン
南アルプス北岳のお花畑 記事中の写真はすべて筆者が撮影

すっきりしない梅雨空を見上げて2019年の夏山をどうするか、考え中の人!

どんな天気も一期一会。すべての人に自然っていいよね!と感じてもらいたいですね。

そんなとき、山小屋があるってとてもありがたいことなのです。

限られた時期に営業する山小屋、咲き乱れる高山植物に出会う山小屋利用のアルプストレッキングには欠かせない存在です。

そんな山小屋で楽しくハッピーな時間を過ごすクールな登山者が実践している9つのポイントを紹介します。

稜線へ 
稜線へ 

1:予約の電話を入れる。キャンセル連絡も必ず行いましょう。厳しい山の中、限られたスペースと食材を無駄なく活用するには皆さんの協力が必要なのです。3000mの稜線の山小屋で絶景を眺めながら贅沢なひと時が、一泊2食付き1万円前後で体験できるのは本当にありがたいことです。

2:小屋への到着は遅くても15時! 遅れそうな時は電波がつながる時に連絡します。最大限努力して!

3:登山メンバーのリストと予定を宿帳に記入しますので用意しておく、支払いはメンバー一括がスムーズです。ルート状況も聞いておきましょう。

北岳山荘フロント
北岳山荘フロント

4:登山靴はあらかじめ直ぐに脱げるように緩めておきます。間違い防止のため、ネームタグをつける、ビニール袋で部屋まで持ち込む、など小屋の環境によって異なります。出発時も玄関を占拠せずに、スムーズに場所を空ける姿はとても素敵です。

5:濡れた服、靴などの乾燥室があります。小屋によって環境が異なりますので、スタッフに聞きましょう。取り間違えがとても多いので早めに取り込むようにしたいものです。間違え防止の荷札を用意されているときは面倒がらずに付けておくのがお薦めです。

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6:夕食・朝食は受け付け時に場所と時間を確認します。込み合う時期の夕食は同じ食堂を数回転します。ゆっくりと夕食を楽しめませんが、そこはお互い様ですね。食べ残しは残飯となって廃棄が大変です。苦手な食材は予めお友達にシェアして残飯が出ないようにするのが素敵な行いです。お茶などのサービスは小屋ごとに異なります、小銭を用意しておくと良です。

7:電力に制限があるので消灯時間が決まっています。就寝スペースでの団らん・飲食はしないのがカッコいいです。楽しい語らいは談話室や食堂でしたいものです。明日に備えてしっかり睡眠を取りたいですよね。消灯時間まで騒いで良いということではないですよ。

8:小屋の中には熊はいませんよ。鈴・携帯など、自分は気にならないけど・・・。スーパーの袋のガサゴソは自分が考えるより室内に響くものです。夕食後、早いうちに明日の用意を済ませておくのがクールな登山者ですよ。

9:自分が関わったゴミ、持って帰りましょう。「ゴミ置いていけないですか?」と聞く人、カッコ良くないです。聞くのは構わないですが、先程までリュックサックに入れていたパッケージ容器を持ち帰れない体力では我が身を守れないのではと心配になります。

9つのポイントは大切ですが、最も大切なことは「コミュニケーション」です。

山の環境ですから、大変なこと、疲れてしまうこと、いくらでもあることです。

一言「ありがとう!」お互い様の「ありがとう!」を忘れずに。

夏山をエンジョイ!しましょう。

日本山岳ガイド協会認定山岳ガイド・カメラマン

ネパール・パキスタン・中国の8000m級ヒマラヤ登山を経験。40年間の登山活動で得た登山技術、自然環境知識を基に山岳ガイドとして活動中。ガイド協会発行「講座登山基礎」、幻冬舎「日本百低山 日本山岳ガイド編」の共同執筆。阪急交通社「たびコト塾(山と自然を学ぶ)」、野村證券「誰でもできる健康山歩き」セミナー講師。山岳・山歩きに関するテレビ番組への出演・取材協力。頂上を目指さない脳活ハイキングの実践。登山防災協議会会員、一般社団法人日本山岳レスキュー協会社員、公益社団法人日本山岳ガイド協会安全対策委員会委員長、山岳ガイドステージⅡ。

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