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BTSに感化された中学生がZ世代!「若年層は“盛る”、中高年は“消す”」メンズメイク

加藤智一美容ジャーナリスト・エディター
健康的なつや肌と唇で、美しいナチュラルメイクのBTSメンバーV(ヴィ)。(写真:Splash/アフロ)

いまやテレビの情報番組でも取り上げられている“メンズメイク(男性のメイクアップ)”ですが、その流行はZ世代(1990年代後半~2000年生まれ)と中高年で大きく傾向が分かれています。

Z世代にとってメンズメイクのお手本といえるのが、男性K-POPグループの代表格であるBTSです。彼らがデビューしたのは2013年のこと。

いまから8年も前ですが、デビュー当時からすでに、ファンデーションでつくった白肌に、ブラウンなどで陰影をつけたアイメイクをあわせたメンズメイクをフルに施していました。

2013年デビュー当時のBTSメンバー、V。ブラックの囲み目メイクで、よりモードな印象。
2013年デビュー当時のBTSメンバー、V。ブラックの囲み目メイクで、よりモードな印象。写真:REX/アフロ

Z世代は現在、大学生や新社会人であることを考えると、2013年当時の彼らは思春期を迎えた中学生。BTSに感化されて「メンズメイクはかっこいい」という価値観で育ってきた彼らにとっては、ヘアメイクがファッションの一部であることは当然のこと。アイメイクやリップメイクをして“盛る”ことが自己表現や個性を生かすことに繋がっているわけです。

中高年のメイクは肌の悩みをカバーすることが主目的

一方、中高年のメイク事情はZ世代とは異なります。中高年のメイクは、加齢による老け感やコンプレックスを消したり、軽減したりすることが目的。

若い頃には気にならなかった目もとのクマやくすみ、血色の悪さや毛髪のボリュームロスなどを目立たなくさせるためであり、それは“盛る”というより、清潔感や若々しさを維持するためといえます(もちろん、女性にモテたいという純粋な思いもあるかもしれませんが)

加えて、マスク生活が定着したいま、以前なら気にならなかった目もとのくすみやクマが、白いマスクによる”ハイライト効果”によって悪目立ちしてしまうという悩みも。

そんなコロナ禍ならではの肌悩みを解決するべく、特に人と会う機会が多い営業や接客業の男性を中心に、目もとのクマをピンポイントでカバーする部分用ファンデーション「コンシーラー」や、顔色を明るく見せる色付き乳液の「BBクリーム」を活用する男性が増加。それがメンズメイクをはじめるきっかけにもなっているようです。

男性向けのコンシーラーも発売されている。(画像:YouTube 「メンズグルーミングチャンネル」より)
男性向けのコンシーラーも発売されている。(画像:YouTube 「メンズグルーミングチャンネル」より)

メイクアップ=厚塗りという誤解

しかしながら、中高年の場合、メイクをすることに抵抗を感じたり、厚塗りになってしまうと勘違いしたりしている人も多いのも事実。そんな方は、メンズメイク=身だしなみと捉えれば、より取り入れやすくなるはず。

たとえば、眉毛がぼさぼさなら、眉用のブラシで毛流れを整えたり、眉ペンシルで薄い部分だけを描き足したりするだけでも印象はガラリと変わるものだからです。

また、メンズメイクをしている男性は女性の気持ちを汲み取ることができる人が多いように思います。

先日も、日頃からメイクを施している男子大学生に取材した際、「自分もメイクをするから、女性が支度に時間がかかるのはわかる」という声があったり、メイクをしない男子大学生が「(男)友達がトイレで“メイク直し”するのは見慣れた」と笑顔で話したりしていて、Z世代にとって、少なくともメイクに関しては“男は、女は”といった性差がなく、ただ好きなことを自然体で楽しんでいるだけ、というポジティブな感覚であることがうかがえます。

この世代はスキンケアやヘアケアを男性用、女性用とカテゴライズせず、カップルや友達同士で使う“シェアコスメ”が定着しており、それも一例といえるでしょう。

眉の毛流れを整えることから始めてみては?

この春には、日本の化粧品ブランドとして、初めて男性向けエイジングケアを発表したシセイドウ メンがメイクアップアイテムを携えて大幅リニューアルすることもあり、メンズメイクはさらに盛り上がりを見せるはず。

「まだメイクをしたことがない」という中高年男性も、挑戦してみるならいまが、そのタイミング。眉を整えたり、シミをカバーしたりする程度のメイクからはじめることで、見た目の変化を楽しむのはもちろん、メイクした後に気持ちが前向きになるといった“心へのメイク効果”もぜひ体感してほしいと思います。

美容ジャーナリスト・エディター

popteen(角川春樹事務所)、ViVi(講談社)、25ans(ハースト婦人画報社)など、女性誌の美容担当を経て独立。女性誌・男性誌・新聞など、さまざまな媒体で執筆。講演・PRアドバイスでも活躍。著書に「お洒落以前の身だしなみの常識」、「思わず触りたくなる美肌をつくる身だしなみメイク」(ともに講談社)などがある。

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