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こだわり満載のプレミアムキムチが大ヒット!仕掛け人はあの男・山根の奥様

加藤慶記者/フォトグラファー
パッケージは山根智巳さんのデザイン  筆者撮影

「私は歴史に生まれた、歴史の男でございます」

強烈なインパクトを残して日本ボクシング連盟を去った第12代目会長、山根明氏。今やテレビでも馴染みの顔となって久しいが、現在は奥様の山根智巳さんが経営する大阪・今里にあるラウンジ『オアシス』でナンバー1“ホスト”として活躍する。さらに新たなる事業もスタートした。

「コロナ禍で飲食業はどこも大変やと思う。それでも前進せなあかん。うちの場合は緊急事態でお店が休業のとき、嫁さんがキムチ漬けを熱心に研究しとった。営業を再開して、試しにお客さんにキムチをサービスで出したんやな。これが凄く好評で、皆さんから『販売してみてはどうか』となって地域のコミュニティーで売ってみると即完売や。75袋、あっという間に売れたからビックリやで」(明氏)

こうして完成した商品が「山根家のプレミアム眞キムチ」(100g350円)である。プレミアムというだけあって、味だけでなく、贅沢なヤンニョムの量に目を見張る。この量のヤンニョムがあれば様々な韓国料理にアレンジできそうだ。

食べやすいように最初から白菜をカットして漬け込んでいく  筆者撮影
食べやすいように最初から白菜をカットして漬け込んでいく  筆者撮影

全羅道から仕入れた高級唐辛子

今里のある生野区は鶴橋商店街や大阪コリアンタウンも近隣で、キムチ専門店がしのぎを削る、いわば激戦区。この分野では新参者でどこに勝機を見出したのだろうか。智巳さんが説明する。

「韓国でも癖があるけど、凄く美味しいと言われているのが全羅道のキムチ。まずはその秘密を探ることから始めたんです。調べてみるとチリカプ山の麓で採れる唐辛子。これがキモだと分かった。この唐辛子は採れる量も少ないし、流通もほとんどしていない。高級品だから韓国でも家庭では使う人がほとんどいない。その唐辛子を業者から直接取引してキムチを漬けてみたら、辛味の後に甘味がある。スゴイ唐辛子だと気づいた! 日本でもこの唐辛子を使ってるの、うちだけやと思います。食べたらその差が分かりますよ」

ヤンニョムには甘みを加えるためリンゴを入れていた  筆者撮影
ヤンニョムには甘みを加えるためリンゴを入れていた  筆者撮影

味付けは日本風にアレンジ

日本で生産される白菜は水分多め。反対に韓国では水分量の少ない白菜が好まれる。

「日本の白菜だと日光に当たって水分が少なめな外側が一番キムチに適していますね。廃棄する部分なので商品では使いませんが、家庭ではこの外側だけを食べている(笑)。日本人の方の舌に味を合わせているので唐辛子の配分も微妙に変化させました。日本の唐辛子を今は1/3使って食べやすくしています」

ヤンニョムに漬ける前の白菜の塩漬けにもこだわった。企業秘密で明かせないがある物で塩漬けし、水切りに夏場は10時間。冬場は12時間かけている。

「後で洗い流してしまうから塩にこだわらない人が多いと思う。ヤンニョムで漬ける前の塩が非常に重要です」

しかも、作り置きをせずに完全なる受注生産。本業の合間を縫って体力的にも重労働だが、人々の声から活力を得ているという。

「美味しかったと言われると凄く救われますね。(山根)会長も味にはうるさいから、それに耳を傾けて味の調節をしましたから、きっと満足していただけると思います」

自分好みの食べ頃を見極めるのもキムチの素晴らしいところ。冷蔵庫の中でキムチは徐々に発酵し、少しずつ酸っぱさを帯びていく。サムギョプサルや豚キムチなど、焼き料理は酸味のあるキムチが適す。

「うまいっ!」

今にも山根氏のドスの利いた声がこだまする、そんな商品に仕上がっている。

山芋と白菜のキムチ  筆者撮影
山芋と白菜のキムチ  筆者撮影

公式インスタ

「山根家のプレミアム眞キムチ」

白菜・山芋などがある。

問い合わせ先

contact@oasis-yamane.com

記者/フォトグラファー

愛知県出身の大阪在住。1998年から月刊誌や週刊誌などに執筆、撮影。事件からスポーツ、政治からグルメまで取材する。2002年から編集プロダクション「スタジオKEIF」を主宰。著書に「プロ野球戦力外通告を受けた男たちの涙」などがある。

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