全国初のネット選挙は参議院選挙ではなく福岡県中間市議会選挙

次の参議院選挙からネット選挙運動が解禁と言われているが、解禁後の最初に投票が行われるのは実は参議院選挙ではない。参議院選挙は7月4日公示、21日投票だから、ネット選挙運動の開始は7月4日だ。しかし、福岡県の中間市の市議会選挙が7月7日告示で、14日に投票されるのだ。

その中間市議会選挙というのがちょっと面白い。

数カ月前に中間市で生活保護の不正受給問題が発覚し、市の職員3人が逮捕された。それを受けて、市議会が、市の行政をチェックできなかったのは、自分たちの責任だと自ら解散したのだ。その経緯については報道されているが、解散理由を聞く限り立派な心がけだと思う。

選挙結果もさることながら、ここで中間市民ではない人にも注目して欲しいのはネット選挙運動の効果だ。第190回JIフォーラムでの話や、ネットを使っての普段の政治活動に熱心な政治家の話を聞くと、次のようなことをよく聞く。

  • 参院選では投票率はあまり上がらないのではないか(アメリカ大統領選挙では、29才以下の投票率が1996年の37%から、SNSが一般的になった2008年では50%超まで上がっている。一方日本では政治情報に積極的にアプローチしているのは主に40代以上。20代、30代はネット上でも政治に関心が薄い。)
  • 候補者の認知にはホームページが有効だが、親しみを感じるにはSNSが有効。
  • 国政選挙よりも地方選挙のように狭い地域での選挙のほうがネット選挙運動、特にSNSの効果は大きい(選挙区が狭いほうが必要得票数が少なく、特定候補者のフォロワー等の占める比率が高くなる。)
  • 国政選挙の場合、日本ではアメリカよりも誹謗中傷が激しいのではないか。一方比較的顔が見える地方選挙ではそうでもないかもしれない。
  • ネット選挙運動を有効に進めるには、普段からのネット活用が大前提。選挙目前になってメルマガを始めたり、フェイスブックで友だちを増やしても意味が無い。その点地方の若い議員で日頃からネットを活用している人は投票を伸ばすかもしれない。
  • ネット利用率が高い未成年は選挙運動ができない。普段の政治活動に携わることはできるが、その延長線上で選挙の告示後に政治家(候補者)の主張などをリツイートなどすると、その未成年者は選挙違反を犯したことになる。これでは未成年者はなかなか政治や選挙に親しめない。

未成年者に関してこのようなことが生じるのは、政治活動と選挙運動を公示/告示日を境にして区別するという大変形式的な制度にしているため(欧米の多くの国ではこの区別はない)。総務省は未成年者に注意を呼びかけているが、本質的には、公選挙法を改正し、この区別をなくすべきではないか。

冒頭に書いたように、参議院選挙投票日の一週間前に中間市議会選挙の投票が行われる。ここで述べてきたような論点や見通しについて、どんな結果になるか、是非大勢の人に見守っていただきたいと思う。同時に一週間のうちに国と地方2つの選挙が行われれば、ネット選挙運動についていろいろ 比較しながら議論することもできる。マスメディアにも事前の議論だけでなく、事後のきちんとした分析を期待したい。