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【2021年展望】ラニーニャ現象で天気は?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
2020年の日本の年平均気温は過去最高となった(気象庁ホームページより)

 現在、ピークに達しているラニーニャ現象。日本では年末から厳しい寒さと大雪に見舞われている。ラニーニャ現象は3月以降、徐々に終息に向かう見通しで、ラニーニャ現象後の夏は暑さが厳しくなる傾向がある。

ラニーニャ現象はピークに

 最新のエルニーニョ監視速報(2020年12月10日発表)によると、11月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より1.2度低く、前回(2017年秋~2018年春)に匹敵する規模に発達しています。

 また、オーストラリア気象局(BoM)は12月22日、観測結果や各国の予測から、ラニーニャ現象はピークに達しているとの見方を示しています。

この夏はポストラニーニャ

 この冬はラニーニャ現象が続く見通しですが、3月以降は徐々に勢力を弱め、ラニーニャ現象は終息に向かう可能性が高いです。この夏はラニーニャ現象が終わった後の夏になるでしょう。2000年以降、ポストラニーニャの夏は5年あります。

ラニーニャ現象が終わった後の夏の天候を示した表(著者作成)
ラニーニャ現象が終わった後の夏の天候を示した表(著者作成)

暑さが厳しい夏に?

 全国的にみて、平均気温が平年を上回る暑い夏が目立ちます。前回、3年前の2018年は西・東日本で記録的な猛暑に見舞われました。関東甲信地方は過去最も早く、6月29日に梅雨が明け、その後、7月23日には埼玉県熊谷市で日最高気温41.1度を記録しました。

台風ラッシュと豪雨も?

 また、2018年は豪雨や台風被害も深刻でした。7月は西日本豪雨、8月は台風が9個発生し、めまぐるしく大雨になりました。さらに、9月には台風21号による記録的な暴風や高潮で、関西国際空港が長時間にわたり閉鎖されるなど、近畿地方で大きな被害が発生しました。

極端すぎる天候に危機感

 この年末年始は強い寒気の影響で、日本海側の広い範囲で大雪になりました。こちらはきょう(4日)と一年前(2020年)の積雪の状況を比べたものです。

上図は今年(1月4日正午)の積雪状況、下図は2020年1月4日正午の積雪状況を示したもの(著者作成)
上図は今年(1月4日正午)の積雪状況、下図は2020年1月4日正午の積雪状況を示したもの(著者作成)

 1月2日までの3日間で降った雪の量は山形県大蔵村肘折で162センチ、新潟県十日町市で123センチ、鳥取県大山町で114センチに達しました。冬型の気圧配置が強かったため、日本海側だけでなく、四国山地や紀伊半島、東海地方でも雪が積もっている様子がわかります。

 一方、昨年は大きく状況が違いました。北海道では大みそかに雨が降り、札幌では雪のない年越しと話題になりました。年が明けても雪不足は解消せず、オープンできないスキー場が続出、また各地の雪まつりの開催が危ぶまれる事態になりました。このような状況をみると、天気には頃合いがないのかとつくづく思います。

 昨年(2020年)は猛暑が短く、台風の上陸もありませんでした。今年はその反動がないことを願うばかりです。

【参考資料】

気象庁:2020年の天候と台風のまとめ(速報)、2020年12月22日

気象庁:エルニーニョ監視速報(No.339)、2020年12月10日

オーストラリア気象局(BoM):Climate Driver Update、La Nina continues; may be approaching its peak、22 December 2020

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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