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12月は一段と乾燥した天気に 難しい換気の両立

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
関東地方を中心に、雨が極端に少なくなっている(気象庁ホームページより)

 11月の東京は極端に雨が少なく、乾燥した月となっている。12月も冬型の気圧配置が多く、太平洋側は雨が少ない予想だ。今後、気温の低下と雪が降る地域では窓やドアを開けての換気が難しくなりそうだ。

同じ東京都でも、雨量に大きな差

 11月の東京は記録的に雨が少ない。1日から27日までの雨量は14.5ミリで、11月としては観測史上3番目に少なくなっています。雨が少ないのは東京に限ったことではなく、仙台、長野、津など東海地方から東北の太平洋側にかけて、そして福岡や広島など九州北部や中国地方でも雨が極端に少ないです。

 ちなみに、同じ東京都でも前線が停滞した小笠原村は大雨が相次ぎ、母島では月降水量が377.0ミリに達しています。

太平洋側は冬晴れ多い

 12月は寒さが本格化し、空気が一段と乾燥しやすくなる時期です。最新の1か月予報(11月28日~12月27日)によると、北日本日本海側では平年に比べ曇りや雪または雨の日が多い一方で、九州から東海地方にかけては平年に比べ晴れの日が多い予想です。

向こう1か月間の予想日照時間(気象庁ホームページより)
向こう1か月間の予想日照時間(気象庁ホームページより)

 日本列島に寒さをもたらす、シベリア高気圧の勢力が強いこと、さらに、南から湿った空気が流れ込みにくいことが予想されているからです。こちらは上空1,500メートル付近の大気の流れを予想した図です。

850hPa流線関数(28日平均)気象庁ホームページより
850hPa流線関数(28日平均)気象庁ホームページより

 赤線で囲んだ所に日本があり、注目したのは中国南部です。ここには高気圧性の循環(時計回りの風の流れ)があり、北から乾いた空気が流れ込む様子を表しています。

換気が難しい冬

 コロナ禍が変えた日常はさまざまあるけれど、換気もそのひとつでしょう。気温が下がれば下がるほど、雪が降る地域ほど、窓やドアを開ける行為が難しくなるのではと感じています。

 例えば、東京地方の乾燥注意報は12月で平均14日、1月は平均で20日も発表されます。2011年の冬は38日間、途切れることなく乾燥注意報が発表されたこともあります。

 室内の湿度を高くする方法として、加湿器が一番に思い浮かびますが、気象予報士の森本まりあさんは洗濯物や料理、お風呂など身近にできる加湿方法を紹介しています。私も手間をかけないことが習慣になる一番の近道だと思います。

【参考資料】

気象庁:全般季節予報支援資料1か月予報(11月28日~12月27日)、2020年11月26日発表

東京管区気象台:東京における気象の記録、東京の乾燥注意報継続日数の順位表

森本まりあ:チーム森田の“天気で斬る”「お手軽な乾燥対策」、2020年11月27日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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