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ラニーニャとインフルエンザ流行入り

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
ラニーニャ影響で、11月以降、西・東日本ほど寒くなりやすい(気象庁、3か月予報)(提供:アフロ)

 年末にかけてラニーニャ現象の影響を受ける見通し。11月以降、寒気は西・東日本に流れ込みやすく、気温が低くなる可能性が高い。前回のラニーニャ現象年(2017/18)はインフルエンザの流行入りが早く、全国の累計患者数は約2,257万人に達した。

紅葉に雪

 旭川地方気象台は26日(土)午前、全国トップを切って、大雪山系・旭岳の初冠雪を発表しました。初冠雪とはその秋初めて、ふもとから山に積もった雪を確認できたことをいいます。

 北海道の上空約1,500メートルには10月上旬頃の寒気(3度前後)が流れ込み、旭岳の山頂付近は雪となりました。全国で最も早い紅葉で知られる旭岳では足早に木々が色づいているそうです。

11月以降、西・東日本で寒く

 いつまでも暑いと思っていても、季節は着実に秋に向かっています。

25日(金)に発表された最新の3か月予報(10月~12月)はラニーニャ現象(以下、ラニーニャ)を意識した内容となりました。

3か月予報(10月~12月)2020年9月25日発表:気象庁ホームページより
3か月予報(10月~12月)2020年9月25日発表:気象庁ホームページより

 来月(10月)は引き続き、全国的に気温が高い予想ですが、11月以降は西・東日本ほど寒気の影響を受けやすく、12月は冬型の気圧配置も強まる予想です。この冬は早めに気温が低くなる可能性が高くなっています。

前回のラニーニャ年はインフルエンザ大流行

 寒くなると気になるのがインフルエンザです。

昨シーズンは記録的な暖冬に、新型コロナウイルス感染予防策が重なったためでしょうか、全国のインフルエンザ累計患者数は約730万人で、流行ピーク時の定点当たりの患者報告数も23.24人と2007/08年シーズン以来の少なさとなりました。

 一方で、前回のラニーニャ年(2017/18年)はインフルエンザが大流行し、累計患者数は約2,257万人に達しました。流行ピーク時の定点当たりの患者報告数も54.33人で、2004/05年シーズン以降で最も多くなりました。

 こちらは2000年以降、ラニーニャが発生していた冬の全国のインフルエンザの流行入りを調べたものです。

ラニーニャ現象が発生していた冬のインフルエンザの流行入りを調べたもの(著者作成)
ラニーニャ現象が発生していた冬のインフルエンザの流行入りを調べたもの(著者作成)

 最近10年間を平均したインフルエンザの流行入りは12月初めです。

 インフルエンザが大流行した2017/18年シーズンは平均よりも2週間ほど早い、11月下旬から流行が始まりました。

 ただ、ラニーニャ年はすべてインフルエンザの流行入りが早いというわけではなく、12月半ばの年もあります。

【参考資料】

大雪山旭岳ロープウェーホームページ:オフィシャルブログ

気象庁:3か月予報(10月~12月)、2020年9月25日発表

厚生労働省:インフルエンザ総合ページ「これまでの流行の状況」

国立感染症研究所:インフルエンザ流行レベルマップ

【訂正】9月27日9時20分

2017/18シーズンの流行のピーク時の定点当たりの患者報告数を57.09人と書きましたが、正しくは54.33人です。

お詫びいたします。

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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