新しい雪情報始まる どか雪被害が相次いで
気象庁はこの冬、新しい雪の情報を提供すると発表した。温暖化の進行で、ひと冬に降る雪の量は全国的に減少したが、短時間に強く降る、どか雪による被害は後を絶たない。短時間の大雪に対して、呼びかけを強化するという。
新しい雪情報が始まる
つい先日まで大雨が降っていたように感じますが、季節は冬へと進んでいます。気象庁はこの冬、新しい雪の情報を始めると発表しました。
そのなかで目に留まったのが短時間で降る大雪に対して警戒を呼びかける新たな気象情報です。これまでは短時間に降った猛烈な雨に警戒を呼びかける情報として記録的短時間大雨情報がありましたが、短い時間の大雪に対して、特別な呼びかけはありませんでした。
この冬から山形県、福島県(会津地方)、新潟県、富山県、石川県、福井県に顕著な大雪に関する気象情報が発表されるようになります。
雪は減っても
きっかけは相次ぐ大雪被害です。とはいっても、温暖化の進行で、昔と比べてひと冬に降る雪の量は大きく減少しました。こちらは福井県福井市で、ひと冬に降る雪の量をグラフ化にしたものです。1990年頃を境に、雪の状況が大きく変わったことがわかります。
歴史に残る豪雪といえば、38(サンパチ)豪雪(昭和38年豪雪)や56豪雪(昭和56年豪雪)があります。その後、2006年には近年にないくらいの大雪となり(平成18年豪雪)、雪下ろしで亡くなる方が相次ぎました。雪国が抱える問題が表面化したことを覚えている方もいらっしゃるでしょう。
どか雪は減らず
ひと冬で降る雪の量は減っても、短時間に激しく降る雪はなくなっていないようです。こちらは福井市で1時間に5センチを超える、非常に強い雪を伴った大雪の事例を数えたものです。予報用語では1時間に3センチ以上降る雪を強い雪と言います。これよりさらに強いという意味で5センチを選びました。
年によって差はあるものの、雪の降り方は弱くなっていない。大雪ひとつひとつが鋭くなった印象です。そして、短時間にたくさん積もる雪、どか雪は交通への影響が大きい。
立ち往生がクローズアップ
車や列車が立ち往生した事例をまとめてみました。これまでにも主要な道路で大型トラックなどが動けなくなったことをきっかけにして、後続の車が立ち往生してしまう事故はあったと思いますが、私が意識するようになったのは2010年頃からです。
2018年2月には福井県の国道8号で乗用車や大型トラックなど約1,500台が動けなくなり、大きく報道されました。大雪が当たり前だった時代から大雪が珍しくなっても、被害や社会問題はなくならない。新しい雪情報の始まりに、雪を取り巻く状況の変化を感じました。
【参考資料】
気象庁:新しい雪の情報の提供を開始します、2019年11月13日