稲妻が起こるしくみ
稲妻が起こる条件は2つ。雲が気温マイナス20度の層まで発達していること、そしてあられと過冷却水滴が混在すること。実際の雷雨で確認することができた。
雨雲はどれも同じに見えるけれど
梅雨の晴れ間が広がった関東地方。気象衛星ひまわりの雲画像でも、本州付近がぼんやりと見えます。梅雨に入っても、しばらく梅雨前線は行ったり来たりするため、晴れる日も多いです。むしろ、梅雨の晴れ間の蒸し暑さに本格的な夏が近いことを感じます。
一方、梅雨真っただ中の沖縄は雨雲に隠れてよく見えません(赤丸)。
雲を縦に切る
沖縄本島南部の南城市に設置されている気象レーダーをみてみましょう。
図で赤く示された部分はレーダーの反射が強い所です。雲の中にある雨粒が大きければ大きいほどレーダーの反射が強いことを利用して、雨の強さを間接的に知るのです。でも、これだけでは雷が鳴っているのか、わかりません。
雨雲を縦に切ったら、何が見えるのでしょう。
沖縄本島の北にある雲を東西に縦に切った図がこちらです。
赤点線で囲った部分と青点線で囲った部分の違いがわかりますか?
左側(赤点線)はレーダー反射の強い部分が高さ14キロくらいまであります。一方、右側は(青点線)は高さ6キロ程度です。
稲妻が起こるための条件は2つ
ひとつは雲が気温マイナス20度になる層まで発達していること。ふたつめはマイナス10度からマイナス20度の層が夏の場合、高さ7キロ付近にあること。この層ができると、あられと過冷却水滴が混在するため氷粒や水滴が接触したり、衝突したりすることで雲の中で帯電が起こります。これが稲妻になるのです。
図はとても見にくいですが、赤点線で囲った部分はこれらの条件に当てはまり、雷が観測されています。実際の雲に条件を当てはめてみると、なるほど!と思えて、興味深いです。
【参考資料】
入田央、2009:第2章雷が起こるしくみ、トコトンやさしい気象の本、日刊工業新聞社